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» 2014年09月11日 12時00分 UPDATE

上司はツラいよ:「断られそうで誘えない」――“部下とのノミュニケーション”は死語なのか (1/2)

「パワハラみたいに思われないか」「断られたらどうしよう」「仕方なくOKしているんじゃないか」――。部下と“飲みたいけれど誘えない”上司が増えているのはなぜなのか。その処方箋は。

[田中淳子,Business Media 誠]
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 「たまには若い部下たちと仕事を離れた会話をしたいなと思うんですよ。でも、最近は飲みに誘うのもためらってしまうんですよね……」

 ある日、研修に参加していた50代と思われる部長がこうつぶやいたのを私は聞き逃さなかった。分かる! 分かりますよ、その気持ち。

田中: 最近の若手は仕事とプライベートをきっちり分けて考える人も多いし、そもそも世代の違う自分なんかに誘われて喜んで飲みに行くものだろうか、と思ってしまうんですよね。

50代部長: そう、そうなんですよ。

田中: 勇気を出して誘ってみたとしても、「アフター5は仕事以外の人と会うことにしているんで」「私、飲まないので」なんて断られたらもう……。

50代部長: そんなことが2〜3回続いたら上司の方が心が折れますよね。

田中: たとえ快諾したとしても、「自分がマネージャーだからOKしたんじゃないか」「陰で若手同士が“部長に誘われちゃったから行かないわけにもいかないよなぁ”と言っているんじゃないか」「パワハラみたいに思われてるんじゃないか」と思ったりして、結局、部下の答えがイエスでもノーでも悩んでしまうんですよ。

50代部長: (首が折れんばかりにうなずいて)そう、まさにそんな感じなんですよ。望ましいのは、部下から誘われることなんですけどね、そしたら行きやすい。けど……誘われないとこれまた、自分には人望がないのかもしれないと悩むし……。

 この会話からも分かる通り、今や“ノミュニケーション”は、とても難しい「コミュニケーション手段」となってしまった。あぁ、上司はツラい……。いったい、いつからこんなことになったのだろう。

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 自分たちが若手だったころは、上司から、「今晩、飲みにいくぞー」と言われたら、「はい」と答えてついて行ったものだった。90年代前半くらいまでに入社した世代は、たいがいがそうだったのではないだろうか。当時の上司はまた、部下を引き連れてワイワイやるだけでなく、部下が悩んでいたり、つまずいているようなときに飲みにつれ出すことも多かった。

 そんな“飲み事情”が変わったのは、企業倫理の順守やワークライフバランスが重視され始め、パワハラを始めとするハラスメントに関する言葉が徐々に広がってきた2000年代以降だろうか。この時期を境に、上司は発言や振る舞いに気を使わざるを得なくなった。

 時を同じくして、部下世代の考え方も変化し始めたように思う。「夜の時間は社外の勉強会や子育て、自分の趣味などのプライベートに使いたい」という人が増えてきたのだ。上司が飲みに誘いづらくなったのも、こういった一連の変化と無縁ではないだろう。

誘われる側の若手はどう思っているのか

 さて、当の“誘われる側の若手”は、上司と飲むことについて、どう思っているのだろうか。20代の若手に聞いてみると、さまざまな答えが返ってきた。

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