沖電気工業(OKI)もそうしたベンダーの1社だ。同社では、企業が利用するIT機器のライフサイクル管理全般をサポートする「EXaaSオフィスお気楽PCサービス」を提供している。
「EXaaS」は、OKIが提供しているクラウドサービスのブランド名だ。「EXaaS オフィスお気楽サービス」は、オフィス電話から専用端末、コミュニケーションインフラまでを含むオフィス環境の構築を、“企業の持つ課題に対応するソリューション”を使って一手に請け負うサービスを展開している。
「EXaaS お気楽PCサービス」は、その中で、特にPC(マルチベンダ)やOKIブランドのプリンタといった機器について、調達からキッティング(現場ですぐ使えるようにするための各種セッティング)、利用中の運用管理、不具合発生時の対応、廃棄までのライフサイクル管理をサポートしている。
OKI ソリューション&サービス事業本部情報システム事業部ITサービス第一部第三チームでチームマネージャを務める平野建太郎氏(所属は取材当時)によれば、調達サービスにおいては、ユーザーの希望するスペックの機器をOKI側で資産として購入し、それにユーザー企業が希望したマスターイメージ(OSやソフトなどの環境)を反映した上でサービス提供(役務含む)する形をとることができるという。
ユーザーは業務に必要なPCやプリンタなどを、OKIのサービスとして「月額定額制」で利用できるわけだ。この価格には、機器使用料に加えて各種の初期設定やセキュリティアップデート、PC故障時の代替機設置といったオンサイトサポート、不具合対応のコールセンター業務なども含まれる。ユーザー側では、PC設備費と運用管理費の平準化が可能になる。
お気楽PCサービスについて、平野氏は「特にユーザーに喜ばれているのは、PC故障時の代替機提供サービス。故障受付窓口をOKI内に開設し、必要に応じて提供時と同じセッティングをした代替機を迅速に提供できる」と話す。
機器の数が増えれば、どうしても機器の故障が発生する確率も上がってしまう。その対応にかかる人的、時間的なコストをすべて外部に委託できる点で、ユーザーの評価が高いという。
併せてOKIでは、企業内のPCに加え、Mac OS搭載機、AndroidやiOS搭載のスマートデバイス、プリンタおよび複合機(OKIブランド)を包括的に管理できる「EXaaS ISM」の提供も行っている。
EXaaS ISMは、いわゆるSaaS型の「資産管理ツール」である。企業で管理している各デバイス状況の可視化、インストールされているソフトウエアの可視化、Microsoft Office製品やアドビ製品のライセンス管理、セキュリティ管理(強制ソフトウェアアップデート、禁止ソフトウェア制御、セキュリティレベル診断)、ソフトウェア配布などを、EXaaS ISM上から一括して行える。
特長のひとつは、単一のコンソールから、PCに加えて、プリンタやスマートデバイスの管理も行える点だろう。スマートデバイスの管理については、セキュリティ上のニーズが高いリモートワイプ、リモートロックといった機能も提供している。
「多様なデバイスが混在する環境を効率的に管理するためには、全体を可視化した上で、包括的に管理できる環境が必要。EXaaS ISMでは、そのためのシステムをSaaS形式で提供するため、その環境を作るためのコストを大きく低減できる」(平野氏)
EXaaS ISMの価格は、端末ごとの月額ベースで、管理対象がPCの場合1台あたり500円/月から、スマートデバイスの場合1台あたり300円/月から――となっている。
必要に応じて、実際の管理作業自体を有償で委託することもできるので、社内にITの資産管理、セキュリティ管理に明るい人材がいない場合であれば、併せて利用することでIT管理を強化できる。
提供される資産管理ツールや、IT機器ライフサイクル管理のノウハウについては、実際にOKIグループの内部で利用されてきたものであり、セキュリティやコンプライアンス違反のリスク低減、運用管理コストの削減について実績があるという点もうりのひとつだという。
「すべてのIT資産についてライフサイクルを考慮しながら、適切に運用管理していく」というのは、たしかに手間が掛かる面倒な作業だ。しかし近年では、企業によるITセキュリティの確保やコンプライアンスに対する社会的な要請も高まっており、決しておざなりにしてはならない重要な「業務」でもある。もし、それが手に余ると感じているのであれば、こうしたサポートサービスの利用を検討すべきタイミングなのかもしれない。
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