高いカスタマイズ性を特長とするサイボウズの業務アプリ「kintone」。ITに詳しくない人でもシステムを作れるというが、実際に業務をよく知る従業員がシステムを作って運用する飲食店があるという。どう活用しているのか、担当者に聞いてみた。
ITの知識があまりなくても、業務システムを作れるというサイボウズの「kintone」。今回、エンジニアや情報システム部門ではない従業員がシステムを作ったという事例を取材をしてきました。東京都府中市に本社を構える「セカンドファクトリー」です。
この会社はWebアプリケーションの開発などが主な事業ですが、自社で開発したソフトが、現場でどう活用されるかを実証するために、なんと「極鶏(ゴクチー).Bar」という飲食店の経営まで行っています。
例えば、自社で開発した「QOOpa」というスマートデバイスで活用できるオーダーシステムがあります。これを「極鶏.Bar」で実際にテストし、開発時点では分からなかった利点や欠点を見つけて、システムの改良につなげているとのこと。現場で試すというアプローチをする会社はなかなかないと思いますし、“ITと飲食”という畑違いの業種を結び付けて、同時に経営しているというのはとても面白いですね。
セカンドファクトリーの「kintone」導入は、業務を知っていながらITに縁のなかった事務・営業畑の菅さんと中野さんがシステム設計をしていることが大きな特徴です。どのようにkintoneが活用されるのでしょうか。
まず、kintoneの導入を考えたきっかけを聞いたところ「とっつきやすかったから」という答えが。他のクラウドサービスと比べてシンプルで分かりやすかったのだとか。なるほど、確かに第一印象は大事です。
kintoneはできるだけ開発をしない「Fast&Easy」をコンセプトにおいたクラウドサービスと言います。同じく、なるべく開発はしないというコンセプトをもつ「SkyDream」という商品を開発しているセカンドファクトリーさんと意気投合した理由もそこにあるようです。
サイボウズによれば、kintoneが飲食業界で活用された事例はまだありません。実際どのようにkintoneを活用していくのかを聞いたところ、以下の5つのシステムを挙げました。
前編では「シフト・勤怠管理システム」と「予約システム」を紹介していきます。
試験的にkintoneでシフト提出システムを作成したそうです。これまでシフトの提出は紙で行われており、それを集めてエクセルで管理していたとのこと。それと比べると随分楽になったように思えますが、使用した従業員の感想から課題も見えてきたと言います。
まずはUIの問題で入力に手間がかかること。このシステムは1日ずつシフトを入力する必要があるのですが、「月曜から金曜日まで夕方からクローズまで働きたい」など勤務パターンが決まっている人についてもすべての日付を入力する必要があり、面倒だという意見が出てきたそうです。
毎日勤務時間が違う人にとってはよいのでしょうが、確かに固定シフトの人は大変そうです。さまざまなパターンで入力できるように改良する必要があるようですね。理想としては、世に出回っているスケジュール調整アプリのように、カレンダー形式で簡単に勤怠を入力できるようにしたいとのこと。Kintoneで作るとどうなるか、完成が楽しみです。
もう1つは“編集権限”の問題です。確定したシフトはkintoneを通して皆で共有できることが理想ですが、それには従業員全員にIDを発行する必要があります。共通のIDを皆で使い回すと、従業員が勝手に勤務日を変更でき、管理ができなくなるためです。
将来的には出退勤の入力も従業員カードなどを通してkintoneで行いたいという考えがあるようですが、IDを複数発行するにはお金も時間もかかることもあり、今後も話し合いが必要とのことです。
予約システムについては、すでにkintoneでの運用が始まっていました。
今までは電話で受けた予約を紙に記録していましたが、Kintoneならば予約の変更や取り消しもすぐに行えるため、オーナーや本部の方が直接店舗に赴かなくても、店舗の予約状況が把握できるようになったそうです。
現状でも十分満足しているという声もあるようですが、今後はコースや席の種類を色分けして、分かりやすく表示できるようにするとのこと。さらなる改良の余地があることからも、kintoneの高いカスタマイズ性が分かります。
さて、後編ではいよいよ飲食業界ならではのkintoneの活用方法をお伝えしたいと思います。お楽しみに。
(初月ヘチマ)
※この記事は、誠ブログの飲食とIT企業、異色の組合せ―kintoneは飲食業界でどのように活用されるのか―(前編)より転載、編集しています。
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