スティーブ・ジョブズも感じた“時間の有限性”世界トップリーダー1000人が実践する時間術(1/4 ページ)

» 2015年08月12日 06時00分 公開
[谷本有香ITmedia]

集中連載:「世界トップリーダー1000人が実践する時間術」について

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 この記事は谷本有香著、書籍『世界トップリーダー1000人が実践する時間術』(KADOKAWA)から一部抜粋、再編集したものです。

世界の舞台で活躍するエグゼクティブたちが一番大切にしている共通点は、「時間の使い方」。時間を味方につけるための努力や工夫をしています。

例えば、1分を60秒、1時間を60分、1日を1440分、人生を3万日といったように、目的に使う時間の単位を小さくして、大ざっぱに時間を管理することを防いでいるのです。

これは、潜在能力ではなく、後天的に身に付けていくスキルです。時間の長さそのものは変わらなくとも、時間の重みが実感をともなったものになり、これまで以上にリアルに感じられるようになります。


 前回は、トップリーダーが時間を味方にするためにどのようなスタンスで時間と付き合っているのか、彼らの時間に対する基本的な考え方について学びました。

 ポイントは、次の3点です。

  • 目の前の時間の使い方に意味を与えること
  • 「自己重要感」を高め、自分の時間の価値を意識すること
  • 将来のビジョンを掲げ、そこから今この瞬間の選択を導き出すこと

 これで、みなさんの中にもトップリーダーの時間に対する考え方のベースができあがりました。

 ここからもう一段階踏み込んで、トップリーダーだけが知っている「時間の取扱説明書」を紹介します。これまでは目の前を通り過ぎて行ったり、自分を追ってきたりする正体不明の存在だった「時間」を、これからは自在にコントロールできるようになるでしょう。

トップリーダーの時間が濃密になる秘密

(画像はイメージです)

 トップリーダーにとって時間とは、伸縮自在なものです。

 彼らは、1分を10分にすることもできるし、24時間を48時間にすることもできると考えています。「時間を伸縮させる」とは、作業スピードを上げて効率化を図ったり、同時に幾つものアクションを行って密度の濃い時間にしたりすることです。

 もちろん、「Aさんが1分過ごしている間にBさんだけが2分のときを過ごせる」という魔法のような方法はありません。ですが、時間をしなやかに伸縮させることで「Aさんが2分で行った作業をBさんは1分で行う」ということはできます。そうすることで、トップリーダーの時間はどんどん濃密なものになっていくのです。

 具体的な方法は第3章と第4章でご紹介しますが、例えば食事をとりながら1時間のランチミーティングを行えば、食事だけで終わるはずの1時間でミーティングも終えることができます。時間の密度はぐっと上がりました。

 移動中に車内でメールの返信を行えば、それがほんの数分でも「移動するだけ」「メールを返信するだけ」の時間にすることが避けられます。

 なんらかのアクションとアクションを組み合わせる「ながら」行動は、時間を伸縮させ、効率化を図るための代表的な方法でしょう。

 また、ガジェットなど便利なアイテムを使えば、これまで30分かかっていた作業を10分で行うこともできます。スタッフを雇ったり、有能なスタッフに入れ替えて仕事を任せたりすれば、やはり自分自身のために使える自由な時間が増えます。

トップリーダーにショートスリーパーが多い理由

 これはみなさんにおすすめできる方法ではありませんが、トップリーダーには短時間しか眠らない「ショートスリーパー」が多いのも事実。

「やることが多いのだから、眠るのは死んでからでいい」「ワクワクしすぎて疲れている暇がない」と、びっくりするほどタフな発言をする人もいます。

 かなり極端なショートスリーパーとして私が一番に思い浮かべるのは、粟井英朗氏(富士山の銘水代表取締役社長)です。彼は、なんと「21時に寝て23時に起きる」という2時間睡眠を続ける強者です。

 もともとそういうタフな体質だったというケースもあるでしょうが、私は彼らがトレーニングによって「短時間睡眠でも活動できる肉体と精神」を手に入れたのではないかとにらんでいます。

 そもそも彼らは、人一倍やらなくてはならないことが多い非常に忙しい人たちです。若い頃は、今以上の過密スケジュールの中、成果を出すため必死になって働いていたことでしょう。

 そこで、現実に自分が活動できる時間を増やすために考えついたのが、睡眠時間を削ること。

 「時間は伸縮自在である」というのは、単なる精神論でもなければ、感覚値でもありません。時間を捻出するためには、アイテムも人もお金も、自分の肉体までもフルに使いこなすのが、ハードワークを経て真の効率化へとたどりついたトップリーダーの作法なのです。

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