まず、ヘイガーがビジネスで大切にしている信条は「カネ儲(もう)けになるから、という理由でビジネスを始めない」ことだという。まさに、彼が手がけるビジネスの中核となっている、バー&ナイトクラブ「Cabo Wabo Cantina(カボ・ワボ・キャンティーナ)」を始めたきっかけがそうだ。
メキシコのバハ・カリフォルニア半島最南端に位置するCabo San Lucas(カボ・サン・ルーカス)は、パーティタウンとして旅行客に人気のリゾート地だ。だがヘイガーが別荘を購入した1980年代始めは、数件のホテルがある程度だったという。当時、お酒を飲んでゆるく過ごせる場所がなかったので、それならば自分でバーを作ってしまおうと考えたのが、「カボ・ワボ・キャンティーナ」を始めた理由だった。
ヴァン・ヘイレン時代の1990年にオープンした同店は、現在ではメキシコの他に米国で3店舗を経営するまでになった。だがずっと順調にきたわけではない。ドラッグ中毒の従業員が売り上げを横領していたり、ビジネスに出資をしていたヴァン・ヘイレン兄弟との決裂など、ビジネスの存続が危ぶまれる時もあった。
しかしカネのためではなく、ヴァン・ヘイレンのボーカルになる前からの夢だったこのビジネスを存続させたかったヘイガーは、当時のマネジメントチームを一掃して立て直しを図った。ヘイガーは「カネは何も満たしてはくれない」と語っている。自分はどうしたいのかが分かっていないと、欲にまみれ、カネは「ただの醜いもの」になってしまうと言う。そしてこうした哲学が、次なるビジネスにつながっていった。
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