そこで、筆者はこのように発想を転換してみた。
上の図は、サービス提供者が顧客を無視しているという話ではない。サービスの提供側と受ける側はそれぞれの視点で考えているので、まったくと言っていいほど別のモノになるということだ。
例えば、笑顔というキーワードがある。「笑顔でお客さまをお迎えましょう」「店員が笑顔だったら気持ちよく買い物できるなあ」というように、従業員とお客とでは、その意味合いは大きく変わる。
「お客さま目線」という言葉があるが、それは提供する側がサービスを計画したり、あるいは見直す段階で想像しているにすぎない。それぞれの立場で全く違うことを感じているのだ。
これまで、お客との考えを一致させることがサービス向上につながると考えられていたが、それは勘違いであることに気付かなくてはならない。
例えば、コンビニのサービスでたびたび議論されるのがポイントカードだ。会計後にポイントを付けることができないので、事前に「ポイントカードはお持ちですか?」と確認するようにしている。
以前、店員がお客にポイントカードがあるかどうかを確かめずに会計を済ませたところ、「ポイントが付かないじゃないか。どうしてくれんだ!」とご立腹。こういうクレームが二度とつかないよう「会計の前にはポイントカードを持っているかどうか、お客さまに確認しましょう」となり、接客マニュアルに取り入れた。これで改善されたかのように見えるが、実はこれを良しとしない人も少なくない。
もし、あなたがあるコンビニの常連だったらどうだろう。毎日、同じ時間に行き、対応する店員とも顔見知り。しかし、ポイントカードは持っていない。
あなたは、あのコンビニの店員は自分がポイントカードを持っていないことを分かっているだろうと思っている。なのに、店員は毎回「ポイントカードはお持ちですか?」とマニュアル通りに聞いてくる。ここに、サービスの“すれ違い”が起きているのだ。
コンビニ側はサービスの向上と思ってやっていることが、お客からは「勘違い」として受け止められることがある。注意が必要だ。
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