安いものにはワケがある――規制緩和のツケ(1/3 ページ)

» 2016年01月22日 06時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:

増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。


 2008年、「汚染米「ズルしていただき」に、ハムラビ法典を。」というコラムを書きましたが、今度のバス事故で、あらためてその趣旨は9年も前のコラムと変わらず貫くべきだと思いました。それは「ズルしていただき」を絶対認めないことが規制緩和の前提であるということです。

「自由の責任」

 自由は自由である責任を伴います。自己責任論が定着し、自分勝手なふるまいで他人や公的サービスに迷惑を掛ければ、たちまち大きな批判を呼ぶようになりました。勝手に危険地域や立入り禁止地に出かけ、何千万もの税金で救助を受けたりすれば、ネットという環境下では壊滅的な批判が巻き起こります。

 しかし事故や事件で被害者をすべて一方的に自己責任と斬り捨てることはできません。本人の責によらない事故や失敗であれば、税金や公的サービスを使って援助することは社会の責任だといえます。

 ハーフの芸能人に侮辱的な発言をした古市憲寿氏が批判されていますが、これは当然出自・出身といった、自分の力ではどうすることもできない事象を侮辱するという、差別そのものだからです。このような不可抗力での被害から守ることは社会の責任です。

 話はズレますが、この件、古市氏ご本人にそこまでの自覚はなく、単にウケ狙いのボケが滑っただけではないかと想像します。文化人が挑発的言辞を使うには、プロのお笑い芸人さんのようなセンスを持たなければ無理です。ウケを取る素人の分際でボケをなめるなと思いました。

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