安いものにはワケがある――規制緩和のツケ(3/3 ページ)

» 2016年01月22日 06時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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元日営業自粛はフェアトレードである

 2016年の正月は大手流通業、デパートや量販店が元旦営業自粛を相次いで発表しました。正月は元日から営業が「普通」となって定着した風潮を変えたのです。正月営業自粛によって生活が立ち行かない人、生命の危機を感じた人は出たでしょうか。

 便利で安価な生活は文明としてレベルの高さだと思います。しかし不必要な便利さや、その製品やサービスを生産する産地や製造者からの搾取ともいえるほどの激しいコスト圧迫の結果がこのバス事故だと感じます。安すぎるアパレル、コーヒー、食品……フェアではない製造調達プロセスが疑われます。

 安すぎるサービスを国が放置している以上、われわれ消費者自身が身を守るしか今は手段がありません。消費者保護の行政は本来はこうした国民ができない質的チェックに向けられるべきと思います。それがない以上、「安いものにはワケがある」が今のところ唯一の防衛手段でしょう。

 政府には、経済競争における強い自己責任の追求を求めます。不可抗力ではなく、利益のためのズルであれば二度と立ち上がれないほどの罰金や処罰を。われわれ消費者はフェアトレードを実現するため、分相応の負担、値上げを受ける必要があるでしょう。(増沢隆太)

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