安いものにはワケがある――規制緩和のツケ(2/3 ページ)

» 2016年01月22日 06時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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規制緩和のツケ

 2000年代初頭の規制緩和で、乗合バスなどは大幅な自由化が実現されました。免許制から許可制になり、運賃も価格決定への規制が大きく自由化されたのです。これにより競争当然激しくなりました。特に参入障壁が自由化で下がったわけですから、今回事故を起こした会社のような中小零細企業も新規参入できるようになったのです。

 結果としてバス運賃はどんどんダンピングされ、安い料金でバス旅行を実現できるようになりました。規制緩和バンザイ、めでたしめでたし……では当然ないのです。

 自由には責任が伴います。安いものにはワケがあるのです。もちろんわれわれ一消費者はその安いワケを見抜けることも見抜けないこともあります。バス事故が起こるたびに事故を起こしたバス会社を吊し上げまではイキオイが出ますが、それ以後は皆すっかり忘れ、価格比較サイトで最安値バスを選ぶ生活は元通りになります。

 廃棄のカツを格安で転売、市販するという外国のことのような話が実際に起こりました。安いものには確実に理由があります。

ズルさせない手段

 もし詐欺など犯罪を犯してもその罰が軽かったらどうでしょう。犯罪によって得られる利益より、罰の方が小さければ、犯罪をやったもの勝ちになります。「ズルしていただき(Ceat to Win)」というモラルハザードを許さないためには、一度でも利益のために人命に関わるような犯罪をしたならば、永遠に立ち直れないほどの厳罰が必要だと思います。

 破産や懲役刑を食らったくらいでは収まらない、大手グループなら本体にも影響するほどの巨額の賠償責任を負わせる。それが負えないような事業者は排除するといった、障壁は、こうしたズルを防ぐには有効だと考えます。

 もちろんその結果サービス料金は上がるでしょう。確か国民の強い支持を受けているという安倍自民党政権はインフレを目指しているはず。であれば、規制強化によって値上げが起こることはインフレにもなるし、国民を守ることにもなるし、一挙両得ではないのでしょうか?

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