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なぜ将来が不安な人ほど、個人年金に入ってはいけないのか3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話(2/2 ページ)

» 2016年01月25日 08時00分 公開
[荻原博子ITmedia]
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変額個人年金もお勧めできない理由

 では、従来型の個人年金ではなく、「運用次第で、将来の年金が増える」という変額個人年金はどうでしょう? 確かに、変額個人年金は、預かったお金を株や債券などで運用していく商品なので、運用次第で大きく増える可能性もありますが、逆に目減りしてしまう可能性もあります。

 こう書くと、チャンスはフィフティー・フィフティーという気がしますが、そう思ったら大間違い。実は、変額個人年金は減る可能性の方が大きいのです。なぜなら、手数料が高いからです。

 例えば、郵便局で販売している某変額個人年金保険は、加入する時点で契約費用として4%の手数料を支払います。さらに、加入し続けている間は、積立金に対して保険関係費用が年1.4725%、運用関係費用が年0.486%、純保険料が年1%を引かれます。つまり、この3つを合計すると、保険運用中に約3%が手数料として引かれるのです。

 もしこの商品で運用した結果、増えもせず減りもしないという状況が25年続いたら、どうなるでしょう。損もせず得もしないのだから預けた額が1000万円なら1000万円のままだろうと思いがちですが、とんでもない。加入するときの手数料40万円に加え、毎年約3%の手数料が引かれ続けるので、25年後には半額の500万円を切っています。

30代、40代は年金よりも現金で

 公的年金が頼りないので、将来が不安な気持ちは分かります。けれど、だからといって個人年金に飛びつくのは早計ではないでしょうか。

 30代、40代は住宅ローンの支払いや子どもの教育資金が掛かる年代。だとすれば、お金をためて、少しでも住宅ローンを減らすことを考えた方がいいでしょう。例えば、借入金額3000万、返済期間35年、利率3%の住宅ローンは、約100万円を繰り上げ返済することで、約150万円近くの利息を払わなくて済みます(期間短縮方式の場合)。

 今どき、100万円を投資して200万円になる投資商品などほとんどありませんから、投資などするよりも繰り上げ返済で住宅ローンを早く返した方が、よっぽど得することになります。

 仮に、住宅ローンがなくなれば、それまでローンで支払っていたお金を貯金に回せます。例えば、年間150万円をローンで支払っていたご家庭で、55歳までに住宅ローンを終わらせることができたとしましょう。年金をもらう65歳までの10年間、ローンの支払いがないぶん年間150万円ずつ貯金できれば、1500万円もたまりますよね。

 年金より、現金。この言葉を、肝に銘じておきましょう。

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