“ダメ男を見抜くゲーム”はなぜ生まれた? 恋愛アプリで売上106億円・ボルテージの新機軸(2/4 ページ)

» 2016年06月24日 08時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

25〜26歳の男女が“ダメ男”の案出し

 同社の企画チームは基本的に、作品ごとに3〜4人。「ダウト」を手掛けたのは、平均年齢25〜26歳の男性1人・女性2人というチームだった。かなり若手に思えるかもしれないが、「ボルテージの従業員の平均年齢は28歳なので“メインの働き手”」(堀井さん)なのだという。

 基本方針を決め、恋愛×謎解きというコンセプトが固まった後に出てきたのは、「結婚する相手をミスしたら、果たしてどうなるのか?」というアイデアだった。そこから「結婚する前に男を見る目を養いたい」「ダメな男を暴いてみたい」──と発展していく。ある程度企画を練ったところで、他のメンバーからの意見も取り入れていった。

ボルテージパーソナル第1コンテンツグループの堀井実希さん

 堀井さんも初期から加わった1人だ。結婚に対して夢を抱く20代のメンバーが多い中、堀井さんは30代の既婚者。「結婚に夢がなくなってしまうような、結婚生活のリアルをたくさん話した」と笑う。

 こうして、性別や未婚・既婚を問わず、「私の出会ったダメ男」「こんなうそをつかれた!」「こんな男とは絶対に結婚したくない!」といった案が集まった。「『ダウト』のコアターゲットは25〜26歳。結婚に憧れつつも、恋愛市場でさまざまな“ワケあり男性”男にもたくさん遭遇する時期。ゲームアプリである意味“お勉強”してくれれば」(堀井さん)。

パーソナル第3コンテンツグループの田中健太さん

 “ワケあり男性”が山ほど出てくる案出し現場を見ていた田中さんの感想は――「女って怖いな……」。これまでの恋アプの案出しは「こういう恋をしたい!」という華やかな憧れを出し合うものだったが、本作は全く違った。「本当の女子会はこうなんだと戸惑った。でもストーリーの案出しの際にリアルな意見が、ゲームやキャラクターに反映されている」(田中さん)。

 こうしてメンバーから集まった案をもとにした結果、「ダウト」のストーリーが出来上がった。主人公は28歳独身女子。浮気をしていた彼氏を捨てて婚活パーティーに向かうと、10人のハイスペックイケメンが次々と迫ってきた。しかしその中で“運命の人”は1人だけ、あとの9人は何かしら主人公に“うそ”をついている!? ワケあり男たちのうそを見抜いてダウトして、運命の人とゴールインを目指す――というものだ。

彼氏の浮気をダウトするところから始まる本作。しかしその後の婚活パーティーで出会う男もそろいもそろってワケアリで……!?(C)Voltage

 つまり10人中9人のイケメンは、ゲーム本編から脱落してしまう。ただしその途中には、ワケあり男と良い雰囲気になったり、選択によっては結婚してしまったりすることも……。男性からすれば「ワケあり男と恋愛をして楽しいのか」「結局『ただしイケメンに限る』か」と思うかもしれないが、そうではない。

 「男性と違って、女性はけっこう“ダメ男”が好き。『ダメ男でも、ダメ男だからこそこのキャラが好き!』と愛を叫んでくれるファンもいる」(堀井さん)。女性に“ダメ男需要”があるからこそ、恋愛要素と、ダメ男を暴く謎解き要素を両立できた。

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