1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
ドイツ鉄道は2016年12月11日のダイヤ改正で国際列車の寝台車を廃止する。今後は高速列車「ICE」の夜行運転に切り替える。寝台列車は全廃。座席列車だけだ。夜行列車が残るだけ日本よりもマシかもしれない。いや、マシどころではない。たとえドイツ国鉄が寝台列車を廃止しても、ドイツを発着する寝台列車が走り続ける。ベッドもシャワーもこれまで通りだ。
とんち問答のような話だけど、これが鉄道における「オープンアクセス」の効果である。ドイツ鉄道が寝台列車を廃止しても、ほかの鉄道会社が寝台列車を運行する。11月24日付の読売新聞によると、10月にオーストリア連邦鉄道がいくつかの路線継承を発表し、ドイツ鉄道から車両を譲受し改装したという。
ドイツ鉄道は寝台列車から撤退したけれども、ドイツを発着する寝台列車が走る。ただし、運行会社はオーストリア連邦鉄道だ。この動きに追随して、ほかの鉄道会社も参入するかもしれない。ヨーロッパの鉄道のほとんどで、列車運行会社は各国の線路会社と契約できるし、線路保有会社も複数の列車運行会社と契約できる。高速道路を複数のバス会社が利用する仕組みと同じだ。
日本の上下分離化は、線路保有会社と列車運行会社が1対1の関係になっている。同じ会社を割ったから当然の結果だ。これに対してヨーロッパの線路は複数の列車運行会社が走行できる。これを鉄道におけるオープンアクセスという。本来のオープンアクセスは「学術論文の営利独占をやめ、誰もが閲覧できる」という意味だった。鉄道もこれに習い「線路の独占をやめ、誰もが列車を運行できる」という仕組みをこう呼ぶ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング