Jリーグの年間入場者数、AIで予測 観客増に生かす観客が増える理由も分かる

» 2017年02月17日 16時44分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は2月16日、AI(人工知能)を活用してJリーグの年間入場者数を予測する技術を開発したと発表した。同社が2013年に開発後、Jリーグに導入した試合日程作成システム「日程くん」の機能拡充が目的で、18年シーズン(同年2月開幕予定)までの実用化を見込む。

photo 予測モデル作製技術のイメージ(=プレスリリースより)
photo 予測モデル作製技術の概要(=プレスリリースより)

 予測技術では、AIの機械学習を使用。膨大な過去の入場者数のデータをもとに、観客が集まる時期とそうでない時期の特徴を定量的に把握し、翌シーズンの入場者数の時系列変化を数値化する。また、スタジアム、キックオフ時刻、日付、節のうち、どの要因が観客数の増減に影響を与えているのかも特定できる。

 トライアルとして16年シーズンのJ1の入場者数を予測したところ、年間入場者数との誤差は約0.5%と、高い精度だったという。ただ、1試合ごとの入場者数とは約20%の誤差があり、改善の余地があるとしている。

 この技術を導入する「日程くん」は、スタジアムの使用可能日、試合開催地の公平性、同一チームの連続対戦の回避などの条件を入力すると、自動で年間の試合日程案を作成するシステム。現在、J1〜J3の計1000試合以上のスケジュール作成に使用されている。入場者数の予測技術と組み合わせることで、より多くのファンの来場が見込まれる試合日程の立案が可能になるという。

 また、短いスパンでの入場者数の予測精度が改善できれば、サッカークラブ運営などへの応用も検討している。

photo 「日程くん」の概要(=同社ホームページより)

 NSSOLシステム研究開発センターの赤塚慎平氏は「予測精度が向上すれば、『日程くん』以外のビジネスにも生かしたい。各スタジアムの1カ月後の来場者数を予測し、警備員の人数やグッズ在庫の最適化をはかるサービスを考えている。鹿島アントラーズと合同で、実用化に向けた取り組みを進めることを検討している」と話している。

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