国鉄を知らない人へ贈る「分割民営化」の話:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(7/7 ページ)
国鉄には国鉄の事情があり、政府には政府の事情があった。公共事業体の国鉄の運営責任は政府にある。ではその政府の責任は誰がとるか。政治家か。いや、政治家を選んだ国民にある。そして今、私たち国民は国鉄の破たんの責任をとっている。
倒産した会社、失敗した事業。原因は誰か、責任は誰がとるべきか。しかし、探ってみれば悪者は誰もいなかった。当事者それぞれが信じた生き方を貫き、守るべきものを守った。それがこじれてしまった。そんな案件もある。
30年前の国鉄分割民営化がまさにそうだった。国鉄の借金は国民が責任をとり、鉄道事業はJRグループが引き継いで責務を全うしている。JR東日本、JR東海、JR西日本とJR九州は成功し、JR北海道とJR四国は危機感を募らせる。その結果に対して、国鉄分割民営化の是非を考えても仕方がない。過去にとらわれず、現状を分析して適切な判断をしたい。
- 北陸新幹線の新大阪駅、その先をどうするか
北陸新幹線の京都〜新大阪間のルートが確定した。新大阪まで来たら山陽新幹線に乗り入れたい。ただし、岡山から先は九州ではなく、四国かもしれない。関西広域連合と四国鉄道活性化促進期成会が活気付く。ルートは2つ。瀬戸大橋と大鳴門橋だ。
- 電車が遅れたらカネを返せ、はアリか?
ちょっと前の話になるけれど、参議院議員が「電車の遅延度に応じて料金を割り引く制度を提案する」とツイートして失笑された。遅延へのいらだちはごもっとも。しかし、失笑された理由は「目先のカネで解決しよう」という浅ましさだ。
- 夕張市がJR北海道に「鉄道廃止」を提案した理由
JR北海道が今秋に向けて「鉄道維持困難路線」を選定する中、夕張市が先手を打った。市内唯一の鉄道路線「石勝線夕張支線」の廃止提案だ。鉄道維持を唱える人々は「鉄道がない地域は衰退する」「バス転換しても容易に廃止される」という。夕張市の選択はその「常識」を疑うきっかけになる。
- JR九州上場から、鉄道の「副業」が強い理由を考える
JR九州が東京証券取引所に上場を申請した。鉄道部門は赤字のまま。しかし副業のマンションやホテル、飲食店が好調だ。阪急電鉄や東急電鉄の成功以来、鉄道会社は副業とセットで成長してきた。しかしその形態は変化している。小林一三モデルではない、新たな相乗効果を模索する時代になった。
- 「札幌駅に北海道新幹線のホームを作れない」は本当か?
JR北海道が「北海道新幹線の札幌駅は在来線に隣接できない」と言い出した。既定路線の撤回であり、乗り換えの利便性も低下する。札幌市と建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が反発している。JR北海道の言い分「在来線の運行に支障がある」、これは本当だろうか。駅の線路配線図とダイヤから検証してみよう。
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