トランプはクビになるのか 「ロシアゲート」を解説世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2017年06月01日 07時17分 公開
[山田敏弘ITmedia]

メディアからリーク情報が溢れ出す

 1月20日、トランプが大統領に就任。トランプは、当時のFBIのジェームズ・コミー長官と2人で会食して、ロシアに絡んで自分がFBIの捜査対象になっていないか、長官に確認する。またコミーに忠誠を求めたとも報じられているが、コミーは拒否したという。さらにトランプ個人の顧問弁護士が、親ロシアのウクライナ議員などと会合していたことが判明した。

 このころから、マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、FBIの聴取にもメディアとのインタビューでも、米国を中心とした欧米諸国がクリミア侵攻に抗議するためにロシアに科した経済制裁について、ロシア側と話をしたことはないと主張を続けた。つまり自分の立場を利用してロシアのいいように制裁解除を働きかけようとしたかどうかが疑われたのだ。ただフリンの主張が嘘であることは当局には明らかで、フリンはマイク・ペンス副大統領にも正直に事実を伝えていなかったため、結果的に辞任せざるを得なくなった。実際には、フリンはセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と何度も会い、対ロシア経済制裁について何度も(少なくとも5回の会話が確認されている)電話で話をしていた。

 またこのころ、カーター・ペイジも取材で2016年にロシア高官と会ったことはないと(嘘を)述べた。

 2月に入ると、トランプは、トランプ陣営のメンバーでロシアと接触していた人は「誰も知らない」と述べ、「私はロシアと無関係」と主張した。下院司法委員会は、トランプにロシアとの関係を明らかにするよう求める民主党主導の決議案を、共和党の反対多数で却下。

 3月以降は、メディアからリーク情報が怒涛(どとう)の勢いで溢れ出す。米ワシントンポスト紙が、ジェフ・セッションズは2016年にロシア大使と2度も会っていたことを暴露し、しかも司法長官の指名承認公聴会でそれを隠していたと報じた。結局、セッションズ司法長官は、今後ロシアがらみの全ての捜査に携わらないと発表。

 また米ニューヨーカー誌の報道を受けて、トランプの娘婿であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問と、マイケル・フリン大統領補佐官が、2016年12月にニューヨークのトランプタワーでキスリャク駐米ロシア大使と会ったことを、米政権が認めることになった。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、トランプの息子トランプ・ジュニアが2016年10月にフランスのロシア系シンクタンクで発言して5万ドルを受け取ったと報じ、米USAトゥデー紙は、カーター・ペイジなどが大統領選の最中の共和党全国大会で、キスリャク駐米ロシア大使と会っていたと明らかにした。

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