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» 2017年06月15日 08時00分 UPDATE

世界を読み解くニュース・サロン:もしコミー前FBI長官が文科省の事務次官だったら (1/4)

世界的リーダーの2人が疑惑の渦中にある。日本の安倍晋三首相と、米国のドナルド・トランプ大統領である。ただ両スキャンダルの展開は、大きな違いがある。どういうことかというと……。

[山田敏弘,ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

 今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。

 欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。


 今、世界的リーダーの2人が疑惑の渦中にある。日本の安倍晋三首相と、米国のドナルド・トランプ大統領である。

 2017年2月に首脳会談に際してフロリダで一緒にゴルフをラウンドするなど、2人が非常に仲良しであることは世界的にもすでによく知られている。日本の首相が絶対的な同盟国である米国のトップと他の首脳たちよりも深い信頼関係を築いているというのは頼もしい限りだが、一方でトランプが失態を晒(さら)せば晒すほど、同類と見られてしまいかねないリスクもある。トランプとの付き合いは微妙な距離感が必要になるだろう。

 そんな両者が偶然にも“仲良く”スキャンダルに直面しているのである。安倍首相は加計学園問題、トランプ大統領は「ロシアゲート」を捜査するFBI(米連邦捜査局)に対して「捜査妨害」があったかどうか、の疑惑だ(関連記事)。

 加計学園については、文部科学省の前川喜平・前事務次官の証人喚問が取りざたされている。一方、米国では、当時のジェームズ・コミー前FBI長官が6月8日、米上院情報委員会の公聴会に出席して証言を行なった。

 この公聴会は「スーパーボウル」級に注目され、多くの国民が中継を見るためにテレビの前に座った(1950万人ほど)ことが話題になっていた。筆者も日本にいながら、夜中に公聴会の様子をライブ中継で視聴した。

 今回のコミーの公聴会を見ながら、加計学園問題に通ずると感じていた。というのも、両ケースには似ている部分が少なくないからだ。どちらも政権トップにまつわる話であり、またそのトップの過去の発言(意向)に焦点が当てられている。さらにその疑惑のカギを握るのは、どちらも政府機関の重要人物(FBI長官と文科省事務次官)である点も似ている。その上、重要人物2人の発言が政権をひっくり返しかねないというのも同じである。

 さらに言うと、加計学園問題で取りざたされている「総理の意向」文書は、前川氏がメディアに配っていたと菅義偉官房長官が示唆していたと報じられている。コミーも退任後に、トランプとのやりとりを旧知の大学教授からメディアにリークさせている。

 ただ両スキャンダルの展開には、ある大きな違いがある。FBIのコミーが議会公聴会で証言をしたのに対して、日本の前川氏は、議会での証人喚問を行なっておらず、今のところ、証言する予定もない。ちなみに米議会では、トランプ大統領の共和党が上院・下院ともに支配しているが、トランプに不利になりかねないFBI前長官の公聴会を実施した。

トランプ大統領がスキャンダルで揺れている(出典:トランプ大統領のFacebookページ)
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