冷凍チャーハンの市場が熱い。日本冷凍食品協会の統計データによると、2016年の冷凍チャーハンの国内生産量は前年比24%増。飲食店にも負けない本格的な味を求めて、各メーカーが商品開発でしのぎを削っている。その火付け役となったのが、味の素冷凍食品が15年に発売した「ザ★チャーハン」だ。同社によると、16年の冷凍チャーハン市場は、ザ★チャーハン発売前の14年と比べて1.5倍に拡大。活性化に貢献してきた。
がつがつと食べられる味と香り、他にはないパッケージなどが多くの人を引き付けている要素。どのようにコンセプトを考え、それを商品として形にしたのだろうか。同社マーケティング本部家庭用事業部商品開発グループの田中宏樹さんに、商品開発の取り組み方や苦労などを聞いた。
味の素の冷凍チャーハンといえば、1978年に発売した「具だくさん五目炒飯」が主力。冷凍チャーハン市場を開拓したロングセラー商品だ。豊富な具材を楽しめることから、ファミリーを中心に長年愛されてきた。
一方、そのような冷凍チャーハンと中華料理店で提供されるチャーハンは特徴が異なる。お店でよく食べられているのは、ネギ、卵といったシンプルな具材。中華鍋で勢いよく炒められており、風味が立っている。近年は冷凍チャーハンでも、このような特徴を再現した商品が増え、人気を集めている。
主力商品といえども、具だくさん五目炒飯をさらにおいしくする努力を重ねるだけでは、本格的なお店の味を求める人には買ってもらえない。これまでとは違う、新しい顧客層を取り込むための新商品が必要だった。
そのため、新商品開発に当たって、ファミリー中心だったターゲットも大きく変えた。「スーパーなどで冷凍食品を買っているのは女性でも、実際に食べるのは男性が多いことが分かった。思い切って“男性に好まれる商品”に軸足を置くことにした」と田中さんは振り返る。
男性をメインターゲットにした、がつがつと食べられるチャーハンの開発に挑むことになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング