コラム
» 2017年11月27日 07時33分 公開

定年バカ:「定年後いくら必要なのか」 考えてもムダだった (1/3)

定年後、ゆとりを感じられる生活を送るためには、どのくらいの預貯金が必要なのか。多くの専門家がいろいろな意見を述べているが、結局のところ本人の生活によってその金額は大きく変わってくる。

[勢古浩爾,ITmedia]

お知らせ:

本記事は、書籍『定年バカ』(勢古浩爾/SB新書)の中から一部抜粋し、転載したものです。


 ある調査によると、ゆとりのある定年後の生活をするには「月額35万円」必要だという(これも怪しい平均額)。しかし、『定年男子定年女子』の共著者である大江英樹氏によると、現役時代には夫婦で月34万円かかっていたのが、定年後は22万円に減ったという。そう。結局問題なのは、自分の暮らし方である。定年後に1億円必要といわれようが、月に35万円必要といわれようが、そんな額まで他人に決められることはない。そんなものは各人の生活次第である。

 ただし、自分で生活をコントロールするといっても、そのためにはひとつ条件がある。定年後に住宅費がかからないことである。この小さくない固定費が定年後まであるようなら、さすがに年金だけでは苦しいだろうと思う。

 私の退職金が少なかったのは、なんの裏もない。そのままの事実である。大江氏も正直にこんなことをいっている。「私は定年退職時に預貯金がたったの150万円しかありませんでした」。おお、親近感がわくねえ、と私は思ったのである。彼は大手証券会社に38年間勤務した人だが、ふたりの娘を「中学校から大学まで私立に通わせ(エスカレーター式の名門校か……引用者注)、高校時代はそれぞれアメリカとオーストラリアに留学した」。商売に失敗した父親の「借金の肩代わりもしたため、お金は本当になかった」

 ところがそのすぐあとに、「もちろん、退職金や企業年金、公的年金がでるということが大前提として」あったから「老後についてさほど心配はしていませんでした」。なんじゃそれ。おそらく定年後の生活はそれらを全部合わせれば十分暮らせて、お釣りがくるくらいの額があったのではないか。あまり「150万円」を強調しないでもらいたい。仲間かな、と共感した親近感を返してくれ。

 ただ大江英樹氏の次の言葉は本当である。「持ち家があり、住宅ローンの返済が終わっている会社員の家計がそう簡単に破たんすることなどないと分かっていました。ぜいたくはできないけれど、食べていくくらいならなんとかなる」。つまり住宅費という固定費の問題である。この点に関しては、多くの専門家が、定年前にやっておくべきこととして「住宅ローンの繰り上げ返済」を挙げている。

 私は定年後の準備というつもりではまったくなかったが、幸いなことに、定年前に住宅ローンを完済することができた。在職中、このことを私はまったく軽視していたが、定年後、そのことがどれだけ助けになったかが分かった。

ゆとりのある定年後の生活をするには、いくら必要か
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