大薗: 一方、内部でやり続けることの難しさもありますか?
青井: 全般的にはメリットがデメリットを上回っていると思います。今よく言われるアジャイル開発みたいなことがインハウスだからこそ現実にできています。ビジネス環境の変化が激しいし、特に金融関係は規制が月単位どころか週単位で変わっていく世界です。それにすべてシステムで対応しないといけません。そのスピードに追い付いていけるのはインハウスだからです。外部のベンダーを介すと、やれ要件定義、やれ基本設計、やれテストなどと時間がかかり、システムが規制に対応したころには次の規制がやってきて、作ったシステムが使えなくなったりしてしまうわけです。
あえて内製化のデメリットを挙げると、最新のテクノロジーをなかなかキャッチアップできないことでしょうか。アウトソーシングしていれば、ブロックチェーンなど最新のテクノロジーを売り込んでくれるわけです。
大薗: 丸井は新しいビジネスモデルにどんどん取り組んでいるわけですが、変革する中でなかなか成果が出ない時期や苦しい時期があると思います。そうしたときにリーダーとしてどういったことを心掛けているのでしょうか?
青井: 今の世の中で変革と言うと、180度転換することがとても多いです。小売業界においては、商品を仕入れて売る百貨店型から、場所を貸し出すショッピングセンター型に、当社のケースだとハウスカードからインターナショナルカードにと、真逆に方向転換しています。ある意味、これまでやっていたことを自ら否定しながら、新しいものを作り出さねばなりません。
ただ、これは人や組織にとって非常に辛いことです。その苦痛を上回るだけの共感できる本質、理念、ミッションなどを見出して、組織でそれを共有することが大事であり、それによって企業カルチャーが変わらないと方向転換できないと思います。
戦略的に正しく判断するのも大事だが、一方で、カルチャーを変えていくのも大事。これを並行して行えるかどうかがリーダーや経営者の資質として重要だと感じています。
大薗: 本日はありがとうございました。
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