6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由水曜インタビュー劇場(99.7%公演)(2/5 ページ)

» 2018年02月14日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

狭い物件を手掛けるきっかけ

QUQURIの居室スペース

土肥: スピリタスは自社で土地を仕入れ、アパート経営をしたいオーナを募集しているんですよね。建物を設計して、竣工後も管理業務を行っている。売上高をみると、2015年は17億円だったのに対し、16年は27億円、17年は31億円と右肩上がりで伸びている。その最大の要因は、部屋がとにかく狭い「QUQURI」を手掛けているからですよね。

 物件は東京23区の中心部で駅から徒歩5分ほどのところが多く、家賃は近隣相場に比べて安い。例えば、恵比寿のワンルームマンションの相場をみると、11万円ほどするのに、QUQURIは7万円ほど。「部屋は狭くてもいいから、会社の近くに住みたい」「都会で住みたい」といった人にウケているのかなあと思うのですが、そもそもなぜこうした物件を手掛けることになったのでしょうか?

仲摩: アパート経営をしているオーナーさんにとって、最大の魅力は何か。多くのリターンを得ることですよね。では、多くのリターンを得るには何をすればいいのかというと、1棟にできるだけ多くの部屋を設けて、合計の家賃収入を増やさなければいけません。

 一方で、一人暮らしをしている人は物件に何を求めているのか。ある調査をみると、以前は「広さ」を求める人が多かったのですが、徐々に減ってきている。代わりに増えてきたのは、「勤務先から近い」「駅からの距離」「部屋がきれい」など。こうした時代の流れを受けて、部屋を狭くして、駅から近くに物件を構えるようにしました。

土肥: オーナーはこんな物件をつくりたい、1人暮らしをしている人はこんな物件に住みたい――。床面積を9平方メートルにすることで、この両者をうまく結びつけたわけですね。限られた土地のなかに、できるだけたくさんの部屋を設けているわけですが、最初からうまくいったのでしょうか?

仲摩: いえ、大変でした。土地の形に合わせて設計をしなければいけないので、縦長の部屋もあれば、横長の部屋もある。部屋の大きさを決めて、その中に設備をどのように配置すればいいのか。それによって部屋の数は違ってきますし、住んでいる人も快適に過ごすことが難しくなってきます。「ああでもない、こうでもない」と研究を進めていった結果、“ベストの間取り”ができました。

ロフトで膝立ちすることができる
ロフトから見た部屋の様子

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