スタバを変えたFacebookの「Workplace」 日本市場での可能性は?ビジネスSNSは成長するか?(1/2 ページ)

» 2018年02月19日 11時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 Facebookが提供している“ビジネス版Facebook”とも言うべきサービス「Workplace」。2015年に米国でスタートし、17年についに日本上陸を果たした。Facebookと同様の操作感だが、社内コミュニケーションなどのビジネス用途に特化しているのが特徴で、国内でも導入企業が増えている。

 グローバルではスターバックスやウォルマートが導入し、意思決定のスピードアップや業務改善に成功している。「働き方改革」が注目を浴びる日本で、Workplaceはどのような可能性を持っているのだろうか。FacebookのWorkplaceバイスプレジデントであるジュリアン・コドーニュ氏と、アジア太平洋地域担当グロースマネジャーの豊田哲太郎氏に聞いた。

“ビジネスSNSの黒船”Workplace。日本ではどのように使われているのか?

3万社のつながりを強くした「Workplace」

――Workplaceはクローズドβ版を経て、16年にスタートしました。

コドーニュ: WorkplaceはFacebookの中でも新しいビジネスです。いわばFacebook内で起業したというイメージといってもいいかもしれません。ロンドンで生まれ、2016年10月にSaaS(Software as a Service)として米国で提供を始めました。Workplaceが目指しているのは、「全ての社員をつなげていく」こと。CEOから現場にいるビジネスパーソンまでをつなげる、ということですね。

 Facebookはモバイルファーストでプロダクトを作っていますが、Workplaceも同様です。デスクにいない社員でも、PCを業務中に使わない社員でも、モバイル機器があればWorkplaceを利用できます。ニュースレターやボイスレター、動画を通じて、全社員がつながって、声を出す環境を整える。それが業務の在り方や流れを変え、日本政府も訴えている「働き方改革」にもつながっていくと考えています。

――全世界でどれくらい使われているのでしょうか。

コドーニュ: ユーザー数は公表していませんが、利用企業は3万社を超えました。伸び率も大きくなってきて、過去6カ月間で2倍の数字になっています。社員250万人のウォルマート、45万人のスターバックス、10万人のハイネケンなど、大規模な会社にも導入されています。

――面白い利用方法はありますか?

コドーニュ: 例えばスターバックスでは、経営トップのフォーラムをビデオ配信しています。各店長がその映像にリアルタイムでコメントを付けたり「いいね」したりと、各店舗と本社機能の距離を近づける効果が出ていますね。また、シフト管理といった実務的な部分でも使われています。

 Workplaceから生まれた新メニューもあるんですよ。ある店長が「うちの店舗ではこのカスタマイズメニューが1日に20杯以上売れる。でもメニューには載っていない。どうやらInstagramで紹介されているらしい」と投稿したら、他の店長が「うちも注文されている」「うちは30杯売れている」と続々とコメントを寄せたんです。それを見たマーケティングチームは、その日の夜のうちに公式メニューへ追加すると決定したそうです。

 こうしたレシピの追加は、これまでなら数カ月かかっていたといいます。それが1日で実現する。意志決定のスピードが上がっていますよね。トップダウンだけではなく、ボトムアップのアプローチも行われているのが、Workplaceの特徴だと思います。

――Facebookのイメージが強いですし、Facebook自体をビジネスで使っている人も多いですから、Workplaceのイメージがわかない人も多そうです。

コドーニュ: そうですね、「会社での飲み会やイベントの写真だけアップするSNSじゃないの?」と思っている方もいると思います。そうではなく、決済やプロジェクトの話、組織全体をどうしていくかのビジョンも語れる、仕事全体で使えるようなプラットフォームに進化しているのです。

Workplaceバイスプレジデントのコドーニュ氏
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.