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» 2018年02月19日 15時45分 公開

「通貨にはなり得ない」が:ブロックチェーン技術、企業に大変革=柳川教授 (1/2)

東京大学大学院の柳川範之教授は、ブロックチェーン技術を利用したスマートコントラクト(契約の自動化)が進展すれば、企業組織の姿が変わる可能性があるとの見方を示した

[ロイター]
photo 2月19日、仮想通貨で注目を集めているブロックチェーン技術。東京大学大学院の柳川範之教授(写真)はロイターのインタビューで、同技術を利用したスマートコントラクト(契約の自動化)が進展すれば、企業組織の姿が変わる可能性があるとの見方を示した。都内で15日撮影(2018年 ロイター/Kentaro Sugiyama)

[東京 19日 ロイター] - 仮想通貨で注目を集めているブロックチェーン技術。東京大学大学院の柳川範之教授はロイターのインタビューで、同技術を利用したスマートコントラクト(契約の自動化)が進展すれば、企業組織の姿が変わる可能性があるとの見方を示した。

ただ、それには紙ベースの契約を前提とした法律の立て付けに課題があるとも指摘。一方、仮想通貨については、価格変動が大きくなりやすい点など決済手段としては問題点が多く、本物の「通貨」にはなり得ないとの見方を示した。

詳細は以下の通り。

──ブロックチェーンの特徴は。

「改ざんされにくい記録を低コストで残せるのが一番の特徴だ。一方、処理スピードが遅いという欠点もある。ある程度時間がかかってもいいが、記録をしっかりと、しかも低コストで残しておきたいというモデルにフィットする」

──具体的な活用例は。

「英企業でダイヤモンドの取引履歴に活用しているケースがある。ダイヤモンドがどこで発掘されて、誰の手を経て来たかということが、ブロックチェーン上で記録されていれば、取引の安全性が高まる」

── 将来期待できる分野は。

「ブロックチェーンは3段階あって、1つは低コストで記録を残せる機能。ダイヤモンドははまった例だが、他にも行政的な記録、例えば不動産登記に使えると言われている」

「2つ目はIoT(モノのインターネット)で得られた情報を使って、スマートコントラクトで執行し、その記録をブロックチェーンで残す手法だ。ブロックチェーンはIoTと相性が良く、ここにはビジネスチャンスがあると思っている」

「3つ目は組織をなくす、組織の代替としてブロックチェーン、スマートコントラクトを使うケース。だが、これはなかなか難しい。仮想通貨イーサリアムが盗まれたDao事件があるが、これはまさにその実験をやろうとしてスタートでつまずいた」

──スマートコントラクトが普及すれば、組織がなくても契約を実行できる。将来的に組織は必要なくなるのでは。

「世の中で起きること全てを契約書に書くことができない。その対処に組織の存在理由があるというのが(経済学で言う)不完備契約の理論だ」

「スマートコントラクトは完備契約の世界であって、完備契約で全てをやれるのであれば確かに組織はいらないが、現実には不完備契約の世界だから、やはり組織は必要となる」

「ただし、完璧に組織をなくすのは無理でも、かなりの部分を自動化することはできる。その意味で、トラブル処理や将来の予測可能性の低いところだけ人間がいて、組織として関与していくことはあるかもしれない。組織の姿がかなり変わっていく可能性があり、このあたりは学者としては、かなりエキサイティングだ」

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