Special
» 2018年03月19日 10時00分 公開

もっと自分を「表現」しよう 眼鏡で働き方改革を目指すジンズ・井上氏の行動力【後編】

体の状態を知ることができるセンシングアイウェア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」で注目を浴びたジンズ。その技術の活用方法はどのような広がりを見せているのか。前編に続き、プロジェクトを育ててきた井上一鷹氏の思いに迫る。

[PR/ITmedia]
PR

 視線移動や体の傾きなどをセンサーで測定し、体の状態を把握できるセンシングアイウェア「JINS MEME」。アイウェアブランド「JINS」を展開する株式会社ジンズが2015年に発売し、注目を浴びた。同社JINS MEMEグループ マネジャーの井上一鷹氏は、「認知症対策」への活用を将来的な目標としながら、商品やサービスの開発を進めている。井上氏の「頑張る理由」や、外部企業を巻き込んで開発を進めた経験について、前編で紹介した。

 JINS MEMEの活用方法の1つとして進めているのが、仕事の集中力を高めるための提案だ。働き方改革の議論が活発になっている中、生産性を高めるツールとしてアピールしている。

 現にその活用方法はいま、広がりを見せている。JINS MEMEプロジェクトを育ててきた井上氏だからこそ発信できる、働き方改革の本質とは何だろうか。

photo ジンズ JINS MEMEグループ マネジャーの井上一鷹氏。「JINS MEME」をきっかけに、世界一集中できる空間を目指したワークスペース「Think Lab」を開設した

働き方改革のニーズに対応

 JINS MEMEの技術と活用方法について、さまざまな分野で聞き込みを進めると、最も興味を持ってくれたのが、「人事とお坊さん」だったという。

 特に、企業の人事担当者にとって、社員の状態を知ることは何よりも重要である一方、難しい問題だ。人手が不足する中で、いかに生産性を高めていくか。さらに、どうすれば社員が幸せに働くことができるのか、真剣に考えている人事担当者は多いという。

 JINS MEMEの技術を活用できれば、作業の集中度と、仕事の進み具合や質を関連付けることができる。「働き方改革の議論において、今は労働時間のことばかり問題になっています。それは、定量化できる指標がそれしかないから。しかし、本当に必要なのはパフォーマンスの定量化で、質の高い労働時間を増やし、質の低い残業時間を減らす、という現実に合った改善が必要です」と井上氏は話す。人事の分野で反響が多かったことから、企業向けにサービスを広げることにした。

 すでにメーカーやIT、インフラなど、10社以上の企業と一緒に、集中度を計測した結果をもとに業務改善を試みる取り組みを実施。オフィスや工場で集中度を計測すると、さまざまなことが分かってきた。

 「集中するには、作業開始から23分かかるのですが、それまでに邪魔されて集中状態に入れないことが非常に多いです。電話だけでなく、メールやチャットなど、連絡手段が多様になり、集中を阻害する原因が増えています。受信する側の集中を妨げないように連絡事項を伝えていくよう、環境を変えていく必要があります」

 さまざまな企業と一緒に生産性向上を目指す取り組みは高く評価された。JINS MEMEを活用した企業向けサービスは、17年に経済産業省が実施した「HR-Solution Contest ―働き方改革×テクノロジー― 」のコンテストでグランプリを受賞。働き方改革の課題をテクノロジーで解決するソリューションとして、認知度が高まった。

東京に高野山をつくろう

 賞を取って注目度が高まった一方、こんなことを聞かれるようにもなった。「ジンズの社内では、どうなんですか」。「ウチの会社はどうなんだろう、と疑問に思いました。考えてなかったんです」と井上氏は苦笑する。

 そこで、社内で集中度を測ってみると、「集中できていない」。15年に移転したオフィスは、「日経ニューオフィス大賞」も受賞。コミュニケーションを重視したレイアウトになっている。ガラスを多用し、透明性は高いが、1人で作業に集中できる環境ではなかった。

 「集中して自分の考えをまとめる作業は、絶対に必要なのです。仮説なき議論からは何も生まれません。コワーキングスペースの良さばかり語られすぎるのは危ない。“なんとなく”で実施するコワーキング(コミュニケーション)を排除したいと考えました」

 そこで井上氏が考案したのが、世界一集中できるワークスペース「Think Lab(シンク・ラボ)」だ。「東京に高野山をつくろう」を合言葉として、本社オフィスの1階下に、集中できる構造と要素を兼ね備えたワークスペースを設けた。構造としては、入り口に設置した、「参道」をイメージした暗く細い道が特徴。そこを歩いて緊張感を高め、抜けた先で視界が開けてリラックスすることで、集中に入るためのルーティンが実践できる、という仕掛けだ。

photo 「Think Lab」のエントランス
photo 参道をイメージした暗い道を歩き、集中力を高める

 「集中に必要なのが『ゆとり』『ゆらぎ』『ゆるし』。深く考えるゆとりがあり、さまざまな環境に身を置くというゆらぎ、そして信頼されているというゆるしがある。その3つの要素を持つ、象徴的な場にしたいのです」

 17年12月にオープンしたばかりで、まだ外部の利用者は多くないが、見学者は後を絶たない。コミュニケーション活性化に異を唱える、新しい考え方のワーキングスペースとして、強い存在感を放っている。JINS MEMEをきっかけに、画期的なスペースまでつくり出した。

photo 1人で集中して仕事に没頭できる環境を整えた

自分の仕事を「表現」してほしい

 井上氏はJINS MEMEのプロジェクトについて、「ジンズ“らしさ”のシンボルとして見てもらえている」と話す。企業規模が大きくなる前から、少しずつ育ててきたプロジェクト。ベンチャー気質が残る、「昔からのジンズの風土を体現し続ける」プロジェクトとして、会社にとっても、井上氏自身にとっても財産になっている。

 そのプロジェクトを、真のイノベーションにつなげることがこれからの目標だ。「マスマーケットのライフスタイルを変えない限り、イノベーションとはいえない。マスマーケットを動かすような見せ方、顧客体験をつくっていくことがチャレンジです」

 前編でも紹介したが、井上氏には、自分の仕事を人に伝えることでやりがいや意義を深めてきた経験がある。その経験を踏まえて強調するのは、「自分の仕事から遠いところにいる人に、自分がやっていることを表現した方がいい」ということだ。「面白いことをやっている人はたくさんいる。そういう人に前に出てきてほしいのです」と願う。

 「いま、モノを作ることとそれを表現することが離れすぎていると感じます。コトづくりを担う人たちの声が大きくなり、モノづくりが食われてしまっている。メーカー気質を持った人がきちんと表現すべきことを理解すれば、良いものを作れるはずです。声が大きい人に負けないでほしい」

 日本の伝統的な強みであるモノづくり。その価値を高め、そこからイノベーションを生み出していくために、井上氏はこれからも自らの手で道を切り開いていく。

ビジネス変革を生み出すヒントがここにも 〜 wisdom by NEC 〜


AR(拡張現実)が現場の働き方を改革!SF映画のワンシーンのような実証実験に迫る

ものづくり、物流倉庫、薬剤管理、設備保全などの作業現場では、以前から、生産性を向上させるための業務効率化が行われてきた。最近では、働き方改革への取り組みも進められている。それらの施策の一環として、PCやタブレット端末が活用されているが、機器を持ち歩いての作業が難しい現場も少なくない。その課題をAR(拡張現実)の仕組みで解決するソリューションがARmKeypad(アームキーパッド)だ。


大情報の宝庫〈ニオイ〉は、世の中をどう変えるのか〜生物の鼻と脳のしくみをヒントに、〈ニオイ〉を電子化〜

ニオイは多くの情報を含んでいるにも関わらず、いまだ手付かずという状態だった。「ニオイに含まれる情報を詳しく把握できれば、さまざまな領域で活用が期待できる。」こうした思いから30年以上にわたり、さまざまな企業や研究機関で嗅覚センサーの開発が進められてきたが、誰もが使える嗅覚センサーの実用化には、いまだ至っていない。その理由は、ニオイの複雑さにある。


Changer

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年3月31日