有効な手ほどきは、2つあります。1つは「何をやるべきか」「なぜ、その仕事をやる必要があるのか」「その仕事にはどういう意味があるのか」「うまくいかない時には、どうすればいいのか」といった、「仕事の役に立つ情報」を徹底的に与えること。
「これくらい言えば分かるだろう」とか、「これは新人の仕事だから」などと、彼らがやるべき仕事についての説明を曖昧にせず、彼らが納得するまで説明し、丁寧なフィードバックも忘れてはなりません。特にフィードバックは重要です。「よくやった」「もうひとふんばり!」といった具合に、「あなたのことをちゃんと見ている」とメッセージを送ればいいのです。
ところが、意識タカスギ君の辞書には、“フィードバック”という言葉がありませんでした。残念、実に残念です。それさえあれば「頼りになる先輩」になれたのに……。悲しいかな、小ジジイに成り下がってしまいました。
もう1つの手ほどきは、新入社員と対話する機会を積極的に持つこと。
「対話とは、各個人が自分固有の実感・体験・信条・価値観に基づいて何事かを語ること」と説いたのは、哲学者の中島義道氏ですが、対話とは、その「人」の全人生を背負う語りです。
「身分・地位・知識・年齢などありとあらゆる服を脱ぎ捨て、全裸になって言葉という武器だけで相手と向き合うことである」と中島氏が説くように、「上司」というよろいを脱ぎ、1人の人間として経験を語る言葉に、部下たちは敏感に反応します。
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