お店のミライ

なぜSUBARUは米国で伸びたのか マーケティング戦略の“真意”キーワードは「LOVE」(3/3 ページ)

» 2018年04月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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ユーザー同士がつながる

 スバルと顧客をつなげているのは、店舗やバッジだけではない。全米に約1万1000人いるという「スバルアンバサダー」も重要な役割を担っている。

 アンバサダーは、SOAが認定するスバルユーザー。車の購入を検討する人に、スバルの特徴や魅力を伝える役割を担う。SNSで情報をやりとりしたり、店舗で実際に話をしたりして、自分が乗っている車の情報や乗り心地などを伝える。

 アンバサダーの1人、ダニエラさんは、これまで9台ものスバル車に乗ってきた。2年前からアンバサダーを務めている。「Instagram」のフォロワーは2500人。日々、スバルや愛車の情報を発信している。

 スバル車を買ったきっかけは父の影響だったが、どんどん車が好きになり、のめりこんでいった。「ある年の冬、スリップした車に追突されて、車体がひっくり返るほどの大きな事故にあいましたが、けがはありませんでした。それ以来、スバルしか乗らないと決めています」(ダニエラさん)。実感がこもった体験談が聞けるのも、アンバサダー制度が支持されている理由だろう。

photo 愛車の「WRX」とダニエラさん。現在は計3台のスバル車を保有

 スバルが米国で注力してきたのは、市場が求める車種を投入することだけではない。1人ずつでも、「スバルが好き」という人を増やすことに取り組んできた。米国では、SUVの市場拡大に伴い、各メーカーが車種を投入している。SUVをそろえるスバルの優位性を維持することは難しくなってきた。この局面でこそ、積み重ねてきた「LOVE」の真価が問われることになるだろう。

photo 店舗に置かれていた「フォレスター」のカタログ。表紙のメインは「クルマ」ではなく「家族」。ライフスタイルやシーンを中心としたマーケティング戦略が表れている
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