160円でJRを“大回り乗車” 新緑と彩り駅弁、唐揚げそばを味わう12時間杉山淳一の「週刊鉄道経済」GW特別編(1/6 ページ)

» 2018年04月27日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

大回り乗車で駅弁を食べてきた<山編>

 ふと気が付いたら大型連休だ。しまった。遊ぶ計画を立てていない。どうしよう。交通手段も宿泊施設も予約でいっぱいだ。だけど、家でおとなしくしていたくない。そんなときにオススメの乗り鉄スタイルをご紹介。楽しいか苦痛かはあなた次第……。


 朝7時すぎの渋谷駅。ここから目黒を目指す。いつもはIC乗車券でピッとやるところだけど、今回は旅の雰囲気を重視して紙のきっぷを買ってみた。券売機の上の運賃表を見て……なるほど、160円か。ひと昔前は当たり前だった所作が懐かしい。最近は遠出をしない限り、電車で出掛けるときに運賃を意識しなくなった。そういえば、きっぷの販売機が減っている。機械が撤去されて、ここにも運賃表が提示されていた。きっぷを買う人が減ったんだなあ。

photo 渋谷から目黒まで160円のきっぷを買った

渋谷から目黒へ……のはずが、八王子

 山手線で新宿へ。目黒とは逆方向だけど、これでいい。今日はJRの運賃の特例を使って遠回りするからだ。大都市近郊区間内では、実際の経路にかかわらず最短経路の運賃になる。渋谷〜目黒間は山手線内回りが最短で160円。外回りでも160円。そして今日は山手線もはみ出しちゃう。新宿で降りて、次は中央線快速で八王子へ。朝ごはんの駅弁を買いに行く。午前7時25分発の高尾行き。隣のホームには最新鋭の特急電車、E353系が出発を待っていた。どこかで追い越されるかな。

 都会から脱出すべく、電車はビルの谷間の高架線を走る。三鷹で長く停車し、特急電車に先を譲った。E353系が来ると思ったら、E257系だった。そういえば、「あずさを待ちます」という車内放送だった。「スーパーあずさ」とは言ってなかった。

photo 中央線快速で都心を離脱

 高架線区間の車窓は見晴らしが良い。遮音壁が低いこともあって、首都高速からの眺めに通じる。戸建ての屋根が連なり、ビル群が散在する。空いているから、ロングシートに座っていても、向かい側の窓の景色を楽しめる。立川を過ぎて多摩川を渡る時、晴れていれば富士山が見える。今日は曇天で残念だ。

 八王子で降りた。さあ、駅弁で朝ごはんだ。下りホームから改札口へ向かう階段を上がったところに駅弁屋さんがある。魚介類が苦手だけど、お肉ドーンという気分でもないな。そこで、野菜多めに見える「山の信州 いろどり弁当」(1000円、税込)にした。次に乗る電車は八高線だ。川越線に直通する川越行き。ロングシートの通勤電車で、駅弁を食べづらい。しばらくお預けだ。

photo 八王子駅の駅弁屋。朝からにぎわっていた
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