新型フォレスターのふくよかなリズム池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2018年07月09日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

 6月20日、スバルは新型フォレスターを発表、7月19日に発売する。フォレスターはスバルブランドの最量販車種となるSUVだ。その稼ぎ頭であるフォレスターにスバルの新世代シャシーであるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が導入されたことが最大のポイントだ。

 パワートレインは、スバルがe-BOXERと呼ぶ2.0リッターのハイブリッドと、2.5リッターの自然吸気の2種類を用意する。旧モデルにあったターボの用意はない。

スバルの大黒柱であるフォレスターがフルモデルチェンジした スバルの大黒柱であるフォレスターがフルモデルチェンジした

反主流のSUV

 現在、世界中でSUVの人気はうなぎのぼりで、米国では割りを食ったセダンの存亡が問われるほどのことになっている。状況は日本国内でも似たような傾向で、各社ともSUVが好調である。

 ところが不思議なことに、この背丈の高いSUVは小さいサイズになるほど、クーペ的ボディが増えてリアシートの居住性よりスタイル優先という風潮だ。日産のジュークも、マツダのCX-3も、ホンダのヴェゼルも、トヨタのC-HRもそういう流れの中にいる。例外と言えるのはマツダのCX-5とスズキのクロスビーくらいではないか?

 このあたりから見るとSUVの主流はミニバンとセダンの中庸を行く「空間ボリュームと走り」のバランスに着目したクルマではなく、どちらかと言えばかつてのスペシャリティカーの後継になっているのだと思う。

 クーペだったり2ドアだったりハードトップだったり。そういうものは機能の面から見ればむしろマイナスで、道具としての良さだけを取り出して見れば、セダンやワゴンやハッチバックの方が優れている。にもかかわらず、なぜスペシャリティカーが受けたかを考えれば、それは「伊達」だからだ。わざわざお金を払うなら生真面目な道具よりも、伊達や小粋を備えたものが欲しい。余談ではあるが、そんなわけで今やセダンも次々とクーペ的なシルエットを持つクルマが増えつつある。

SUVを「どこにでも行ける、どんな場所でも使える」と定義し、荷室スペースの確保を重視した SUVを「どこにでも行ける、どんな場所でも使える」と定義し、荷室スペースの確保を重視した

 という中で、フォレスターはとてもスバルらしい。「伊達じゃないだろ。道具としての良さだろ」と言わんばかりの真面目さだ。SUVは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略だが、フォレスターの場合は「スペース・ユーティリティ・ビークル」じゃないかと思えてくる。リヤの居住性だけでなく、荷室の幅やサイズにもこだわったのだと、スバルの中の人は言う。

 だからSUVが欲しいけれど、ちゃんと4人乗れないとダメ、荷物も積めないとダメというニーズに応えられる数少ない1台として登場したとも言える。

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