インタビュー
» 2018年09月13日 06時15分 公開

これも新しい働き方:「社員を管理しない、評価しない」 個人と会社の幸せを追求した社長が心に決めたこと (1/5)

「ワーク・ライフ・バランス」ではなく「ワーク・アズ・ライフ」。こうした言葉を語る人たちが増えている。TAMという会社は、社員のワーク・アズ・ライフを「仕組みで」可能にしている。社長にその本質を聞いた。

[浅田よわ美,ITmedia]

 働き方改革を発端に、ワーク・ライフ・バランスを求める声がますます高まっています。しかし、第一線で活躍するビジネスパーソンほど、文字通り仕事と人生を分ける、このワーク・ライフ・バランスというコンセプトに違和感を覚えているようです。

 そんな彼らが共感を示す言葉が「ワーク・アズ・ライフ」。仕事と人生との間に境界線を引かず、自然体で働く、あるいは好きなことがいつの間にか仕事になっている状態を指します。

「ワーク・アズ・ライフ」を実現しているTAM。その秘密に迫る 「ワーク・アズ・ライフ」を実現しているTAM。その秘密に迫る

 企業のデジタルマーケティングを支援するプロダクション・エージェンシー「TAM」は、社員のワーク・アズ・ライフを「仕組みで」可能にしているユニークな会社です。

 TAMでは毎年、内省した上で自分の上司と対話するキャリアミーティングの場が設けられます。自分の強み、弱み、置かれた環境などを棚卸しし、社員のワークだけでなく、それを含むライフについて、時間をかけて共に考える。そうして社員は自己実現に向けて努力していくのです。しかし、中には何年かのミーティングを経て、転職や独立を決断する人も……。

 普通に考えれば、手塩にかけて育てた社員が離れてしまうのは、組織にとって痛手のはず。にもかかわらず、会社自らそれを促すのはなぜなのでしょうか。さらに、TAMには評価制度さえなく、給料を決めるのは社員自身だといいます。

 そんな“常識はずれ”の会社運営を26年にわたって続けてきた、TAM代表の爲廣(ためひろ)慎二さんに、その狙いを伺いました。

人が人を正当に評価することなんてできない

――TAMには評価制度がないとお聞きしたのですが。

 導入しようとしたこともあったんですけど、どうも肌に合わなくて。というのも、人が人を評価するというのが正当に行われるようには思えないんですよね。

 僕も若いころは会社勤めをしていましたが、ことあるごとに「そんなことをやっていても評価されないぞ」と言われました。ほとんど話したこともない課長に評価されて、「あんたに何が分かるねん!」って思っていました。

 評価制度があると、どうしても「良い評価を得る」ことが働くモチベーションになってしまうじゃないですか。でも、僕からすればそれは著しく不自然なこと。「仕事って好きだからやるんじゃないの?」「点を取るために仕事をするとか、そんなアホらしいことはないんじゃないの?」って思うんです。

TAMの爲廣慎二社長 TAMの爲廣慎二社長

――その価値観はどこで培ったものなんですか?

 学生時代にリクルートでアルバイトをしていた時のインパクトが強かったんだと思います。当時はまだ創業者の江副(浩正)さんが最前線で旗を振っていて、アルバイトの自分も社員と一緒になって毎日営業に出ていました。そうして「自ら機会を創れ」という理念を肌で体感させてもらった。それがすごく楽しく、刺激的で。

 だから、腹の底にはリクルートのDNAがあるんだと思いますね。評価を得て、出世して、昇給して、それで幸せになるとか、ナンセンスやと思えてしょうがない。仕事なんて、自分のためにやったらええやん、と。

――じゃあ最近よく聞くワーク・ライフ・バランスなんて言葉は……。

 嫌いですね。バランスなんかあるかい、と。だって、好きなことだったら昼夜問わず没頭するのが普通じゃないですか。もちろん健康や体調管理をしっかりすることは大前提ですが、それがやりたいことなのであれば、誰の目も気にすることなく好きなだけやればいいと思うんです。

 だから経営者としては、メンバーがやりたいことを叶えるために出せるお金は出したいし、借金してでもやらせてあげたいと思いますね。もちろんそこには、そうしたほうが事業が伸びて会社としても成長するとか、そういう勝算があるからということもありますけど。

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