変化の激しい時代を生き抜くのにふさわしい能力を子どもに身に付けてもらおうと、学校以外の場所に子どもの学びの場を求める親が増えています。テレビなどで取り上げられ、いま話題のYouTuber教育プログラム「YouTuber Academy」もその一つです。
「YouTuber教育プログラムなんて、流行りに乗っているだけだろう」と、眉をひそめる読者もいるでしょう。しかし、YouTuber Academyを運営するFULMA代表の齊藤涼太郎さんは、そうではないと言います。
「授業では確かに動画編集のスキルを教えています。でも、本来の目的はYouTuberを育成することではないんです」
では、YouTuber Academyでは、子どもたちに何を教えているのでしょう? それを探るうちに見えてきたのは、「変化の激しい時代を生き抜くのに必要な力」と、子どもたちを育む大人たちに求められる姿勢でした。
FULMA株式会社 代表取締役 齊藤涼太郎さん。北海道出身。慶應義塾大学在学中。高校時代、中高生のみで活動するボランティア団体を立ち上げ、地元商店街のお祭りの手伝い、小・中学生向けのキャンプの企画・運営などに携わり、第18回ボランティアスピリットアワードで最高賞である文部科学大臣賞を受賞。その活動を通して、子どもたちの純粋な「やりたい!」という思いを応援することの大切さを知り、慶應義塾大学在学中にFULMA株式会社を創業、現職に就任――なぜ、YouTuber Academyを始めたのですか?
実はYouTuber Academyを始めるために起業したわけではありません。僕は人間が最も力を発揮するのは、自分のやりたいことをやっている時だと思っています。それは大人に限らず、子どもだって同じはず。そこで「子どもたちがやりたいことをやれるよう支援すること」を事業の軸に据え、陶芸や自然体験など多様なプログラムを届ける事業を行いました。
しかし、それがなかなか上手くいかず、もう一度原点に立ち返り、「いま子どもたちが一番やりたいと思っているのにやれていないこと、支援が必要なことは何だろう?」、そう考えて世の中を見渡した時に、これだと思ったのがYouTuberだったんです。
なりたい職業ランキングで3位に入ったように、YouTuberはいまや、子どもたちにとって芸能人やスポーツ選手以上の憧れの存在です。けれども大人からの偏見は根強く、子どもがYouTuberを目指すことを快く思わない親が少なくありません。
しかしなりたいと思う子どもがこれほど多くいるのなら、それを現実的に選択できる環境を整える必要があるんじゃないかと考え、2017年4月にYouTuber Academyを立ち上げました。
ちなみにYouTuberを快く思わない人の中には「楽をして稼ごうとしている人たち」という偏見を持っている人もいるようですが、それは誤解です。
YouTuberの中には、自分で企画し、編集した動画を毎日アップし続けている人もいます。これは会社勤めの人の仕事に置き換えれば、毎日新規事業の企画を考え、それを実行し、数字を取ることも求められているようなもの。
そう考えれば、「努力せずに楽をしている」というのがどれほど的外れであるか分かるはずです。
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