マツキヨのエナジードリンクが、たった1日で10倍も売れた秘密水曜インタビュー劇場(液色公演)(1/7 ページ)

» 2018年10月17日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「マツモトキヨシでお買い物♪」――。

 このメロディに聞き覚えのある人は、マツモトキヨシ(以下、マツキヨ)が最も元気だった90年代を知っている人だろう。当時のマツキヨは首都圏を中心に展開していたので、関西に住んでいた記者は「どんなところなんだろう? とんがった薬局なんだろうなあ」などと想像していた。

 しかし、あれから20年。内部資料にも「革新的で卓越していた『マツキヨらしさ』はすっかり失われた」と明記しているように、たくさんあるドラッグストアのなかの1つ……といったイメージを持っている人も多いかもしれない。このように書くと、「オレはよく利用しているよ。風邪薬も買うし、目薬も買うし」と思われたかもしれないが、調査データを見ていただきたい。同社は2006年に、PB「MK CUSTOMER」を展開していたが、消費者に広く伝わらず、認知度はわずか6〜7%に沈んでいたのだ(PB:小売店などが自ら企画開発した商品)。

2015年に、PB「matsukiyo」を展開する

 危機意識を強く持ったマツキヨは、大手小売業などでPBコンサルティングを手掛けてきた乙幡満男氏に白羽の矢を立てる。2014年に入社した乙幡氏は、翌年に「matsukiyo」というPBを立ち上げ、これまで数々のヒット商品を生み出すことに。「フルーツグラノーラ」「ハンドソープ」「のどスプレー」などが好調で、PB全体の売り上げは30%ほど伸びているのだ。

 そんな中で、記者が注目している商品がある。「EXSTRONG エナジードリンク」(税込150円)だ。17年12月に発売したところ、すぐに火がついた。同社のPB商品は2000アイテムほどあるなかで、「エナジードリンクは“代表選手”に成長した」(同社)という。ドラッグストアに足を運ぶのは女性が多いのに、なぜ若い男性が好むエナジードリンクが売れているのか。開発の裏側とヒットした理由について、乙幡さんに聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

マツキヨのPB商品「エナジードリンク」が売れている
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