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» 2018年10月19日 07時12分 公開

あの会社のこの商品:1250円の「カレー専用スプーン」は、どうやって開発したのか (1/4)

カレーライスを食べる時、スプーンにこだわる人は多くないだろう。出されたものを使うか、無意識に選んだものを使っているはずである。しかし世の中には、カレー専用につくられたスプーンがある。その中でも現在、注目を集めているのが、「カレー賢人」だ。

[大澤裕司,ITmedia]

 カレーライスを食べる時、スプーンにこだわる人は多くないだろう。出されたものを使うか、無意識に選んだものを使っているはずである。しかし世の中には、カレー専用につくられたスプーンがある。その中でも現在、注目を集めているのが、「カレー賢人」だ。

 「カレー賢人」は、日本で最もカトラリー(金属洋食器)づくりが盛んな新潟県燕市に本社を置く山崎金属工業が開発・販売しているもの。現在、左右対称のティアドロップ型「キャリ」と、左右非対称の「サクー」の2つがある。1本1250円(税抜)とやや高価だが、2017年7月の発売と同時に話題となり、何度か品切れを起こしたほど。これまでに2つ合わせて約2万本売れているが、誕生の裏には、カレー店の店主やカレーマニアの声を集めた開発担当者の地道な努力があった。

カレー専用スプーン「カレー賢人」。左が「サクー」、右が「キャリ」

カレー激戦区・神田神保町でヒアリングを重ねる

 ノーベル賞晩さん会に採用されるほど高品質・高価格なカトラリーが主力の山崎金属工業で、比較的手が届きやすい価格帯の「カレー賢人」が企画されたのは15年秋のこと。家庭で一番身近なカトラリーであるスプーンが最も印象深く見える料理は、国民食であるカレーであったことから発案された。

 開発に当たり同社は、ユーザーの声を聞くことにした。その理由を、開発を担当した国内営業部の中村雅行氏は、次のように話す。

 「洋食器業界の主要な顧客はホテルやレストランですが、問屋経由で販売されるため、お客さまの声が届きにくいところがあります。何をほしがっているのか、どんな悩みを持っているのか、といったことが分かりにくいのです」

 中村氏は早速、カレー店の店主から話を聞くことにした。月に数回、出張で東京に来た時を利用して、都内でカレー激戦区として有名な神田神保町のカレー専門店を飛び込みで訪問。欧風カレーを提供する店を重点的に回り、店主からスプーンに対する不満や要望などをヒアリングした。15年10月から12月にかけて、上京するたび1日4〜5軒のカレー店を訪問。話を聞くだけでなくカレーを食べていくこともしばしば。足だけでなく胃袋も使い、体当たりでヒアリングした。

 カレー店へのヒアリングで分かったことに、皿とのバランスの悪さがあった。

 皿は割れたり欠けたりすることがあるので買い換えられるが、スプーンは簡単に壊れないため、オープン当初にそろえたものを使い続けることが珍しくない。最近のカレーは大きな皿に盛りつけられる傾向にあることから、新しい大きな皿と古いスプーンを組み合わせると、スプーンが皿の大きさの割に小さくバランスよくないというのである。

 それに、最近のカレーは具材が大き目になる傾向があるという。今までなら深さがなく薄いスプーンでも大丈夫だったが、そのようなスプーンだと具材が切りづらくすくいにくくなっている。

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