仮想通貨は“貨幣”ではない――。国際決済銀行(Bank for International Settlements、BIS)でゼネラルマネージャーを務めるアグスティン・カーステンス氏は11月1日、米マイアミ大学で開かれた講演会の場でこう述べた。
「“通貨”という言葉がミスリードを引き起こしてしまっている。ビットコインやイーサリアム、テザーなどの仮想“通貨”は、貨幣の核となる機能を果たさない。どの仮想通貨も真の決済手段などではないし、今年においては価値の保存としての役割もあまり果たせていない状況を目にしてきた。仮想通貨の購入者はソフトウェアのアルゴリズムを買っているにすぎない」と仮想通貨を厳しく評価した。
一方で、中央銀行などによる既存の決済システムの改革については、ビットコインのようなデジタル資産に注目するより、よほど経済的価値のあるものだという。
「BIS決済・市場インフラ委員会のデータによると、2000年のカード決済額はGDPの13%程度だったが、16年にはGDPの25%に達した。既に普及しているスマートフォンアプリなどがキャッシュレス決済を加速させている。(中央銀行の取り組みは)仮想通貨関連の取り組みほど注目されはしはないが、新しいハードウェアやソフトウェアの開発や金融の安定性を強化し経済を守るための一連の作業は非常に重要である」と、中央銀行の取り組みを称賛した。
カーステン氏は過去にもビットコインを「バブル、ポンジ・スキーム、環境災害」と呼んでいた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング