――ビジネスシーンでは、リュックはどのように活用するのがベストなのでしょうか。
上田さん: ある程度の信頼関係ができている上司や取引先と接する際は、持ち歩いても問題ないでしょう。ただ、違和感を持つ人もいるため、営業活動での初めてのアポイントメントにリュック姿で行くことは避けた方がよさそうです。相手の価値観を知った上で(手提げかばんと)使い分けるのがいいでしょう。
また、相手によっては、持っていることがマイナスポイントになりかねないので、転職活動・就職活動の際に、リュック姿で面接に臨むのはやめたほうがいいでしょう。
ただ、ビジネスリュックの需要はありますし、こうした抵抗感は徐々に薄れていくと思います。
――リュックだけでなく、合成皮革製の靴を履くこともビジネスマナー違反だという説を耳にしたことがあります。仕事の際は、やはり本革製の靴が望ましいのでしょうか。
上田さん: いえ、全く問題ないと思います。近年、合成・人工皮革製の靴の品質は上がっており、本革製と見た目がほぼ変わらないものが売られています。
皮革の価格高騰が続いていますし、(動物保護の観点から)革を扱うことをタブー視する声も出ているため、今後、本革製の靴はますます高価になることが予測されます。そのため、特に金銭的に余裕がない若手社員などは、本革製ではない靴を選ぶのも一つの手です。
ただ、合成・人工皮革製の靴を選んだ場合も、身だしなみの観点から、劣化してきた場合はきちんと買い替えましょう。
――上田さんが個人的に、ビジネスシーンで課題だと感じているマナーはありますか。
上田さん: パンツ(ボトムス)の加工はやや気になります。かつては、スラックスなどの前面中央部には、アイロンで折り目を付ける「センタープレス」を施すのが一般的でした。センタープレスが入ったパンツはフォーマルな印象を与えます。
ですが、近年はセンタープレスを施さないカジュアルなビジネス向けパンツが登場し、ブランドの高価・安価や、男性もの・女性ものを問わず、多岐にわたるスーツ店で売られています。
ビジネスリュックと同じく、年配の方の一部には、センタープレスのないパンツを履いた状態で接すると不快に感じる人がいるかもしれません。そのため、パンツのデザインにも気を配った方がよさそうです。
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