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» 2018年12月05日 06時00分 公開

驚異の需要予測システム:回転すしの廃棄率は? くら寿司が「3%」に抑えられるワケ (1/6)

大手回転すしチェーンではたくさんのすしがレーン上を回転している。くら寿司では「廃棄率3%」を達成している。廃棄を減らす鍵である需要予想システムとは?

[昆清徳,ITmedia]

あの企業はなぜこの数字にこだわるのか:

 出店数、品ぞろえの数、値付けなど「会社の数字」から企業の本当の狙いをあぶり出す。「あの企業はどうしてこんな戦略をとったのか」ということを、数字の裏付けも踏まえながら分かりやすく紹介する。

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 大手回転すしチェーンで食事をしていると「たくさんのすしがレーン上に流れてくるけれど、これが全部食べられているのかなあ」と疑問を抱くことがある。しかも、「自分の好きなものだけを食べたい」という欲求があるため、テーブルのタッチパネルでどんどん注文してしまう。すると、ますますレーン上のすしの廃棄量が気になってくる。

 では、大手回転すしチェーンではどの程度すしを廃棄しているのだろうか? くら寿司の広報担当者に尋ねてみると、一度レーンに流したすしの廃棄率は約3%だという。

 くら寿司ではすしやスイーツなど約160種類以上のメニューをそろえており、昼食などの混雑時になるとレーン上にはさまざまなすしが常時流れているが、どのようにして廃棄率を抑えているのだろうか。

photo くら寿司のレーンを流れるすし

O-157の集団感染をきっかけに科学的な管理を推進

 廃棄率を下げるキーとなるのは、レーン上に流れるすしを“科学的”に管理するテクノロジーだ。くら寿司はいつごろから本格的に開発に取り組むようになったのだろうか。

 そのきっかけとなったのは、大阪府堺市で1996年に発生したO-157の集団感染だ。当時、学校給食などで9000人以上が感染し、死亡者まで出たいたましい事件だ。

 堺市に本社があったくら寿司は、この事件を「他人ごとではない」と判断し、レーン上を流れるすしの管理体制を見直すことにした。

 それまで、くら寿司では皿の上に置くすしの並べ方を変えたり、皿の色を変えたりして投入時間を把握し、古くなったものを廃棄していた。

 同社が調査すると、菌がすしに付着した場合、2時間以上経過すると人体に危険を及ぼすレベルに達することが分かった。そのため、くら寿司では97年に「時間制限管理システム」を導入。皿の下にQRコードを張り付け、カメラで時間を計測するようにした。そして、レーンに投入してから55分経過したすしを廃棄するルールを作成したところ、廃棄率が10%に上昇した。安全性は担保されるが、廃棄率が高いままでは収益を圧迫してしまう。そこで、別のアプローチを考えることにした。

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