話はやや前後するが、ここで2002年に導入されたタッチパネルのことについて触れないわけにはいかない。
くら寿司は製造管理システムなどの拡充により、需要予測精度が高まり、廃棄率を下げることに成功していた。しかし、お客が好きなときに好きな商品を注文できるタッチパネルの導入時には、その是非を巡って激しい議論が繰り広げられたという。
タッチパネルを導入することで、個別注文をするお客が増えてしまい、すしの廃棄量が増えるのではないか? という懸念の声が強かったのだ。最終的には経営トップの鶴の一声で導入が決まったが、くら寿司ではタッチパネルでの注文があるという前提でシステムをつくりかえることにした。現在では当たり前のように普及したタッチパネルだが、その裏ではシステムを進化させる取り組みが続いていたのである。
くら寿司に限らず、大手すしチェーンは廃棄率を下げるための取り組みを近年強化しているが、その一方で“回らないすし”を強化する流れもある。例えば、あるチェーンの担当者は「すしがずっとレーン上をグルグルと回っているとお客さまが『ネタが古くなった』と思われます。そこで、テーブルのタブレットを使い、自分の好きなものだけを注文する傾向が強まっています」と説明する。そこで、回転するすしをやめて、注文を受けてから専用レーンで流すタイプの店舗を増やすところもある。店内を改装することで、売り上げが改装前から1〜2割増えるケースもあるそうだ。
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