14年8月に「ヤギを盗んで食べた」として逮捕されたベトナム人の実習生が、次のような謝罪文を法廷に提出しました(『ルポ ニッポン絶望工場』出井康博著より)。
「悪いことをしたことは自分でもわかっています。言い訳ではないですが、私の話を聞いてください。一所懸命働いてお金をためてベトナムの家族に送るために日本に来ました。(中略)7カ月頑張りました。もう力が無く疲れてしまい、会社を逃げ出しました。お金がなくなってきて、日本語も下手、誰も助けてくれない。ベトナムに帰ろうと思ったけど、借りた150万円返していない。(中略)でも、おなかがすいた。スーパーで初めてごはんを万引きしました。命を守るために万引きしました。本当に申し訳ありませんでした」
長野県の農業会社で実習生として働いていた男性は、当時、朝6時から午前2時まで勤務。手取りは6万円程度しかなかったとされています。
念のため断っておきますが、きちんと「技能実習生」として受け入れている企業も存在します。とはいえ、上記のような問題が存在する以上、それを解決するのは大前提です。個人的には、形骸化している「技能実習制度」はもはや不要と考えています。
【人手不足問題】
「外国人労働者問題」では、二言目には人手不足、人手不足といいますが、ホントに人手不足なのでしょうか。
外国人労働者を雇用している業種は、もともと離職率が高くなっています。16年度の雇用動向調査(厚労省)で、離職者数のトップは宿泊業・飲食サービス業で1373万1000人。離職率は30%です。
やめる理由は「給料等収入が少なかった」「労働時間、休日などの労働条件」とする人が多く、特に前者は近年増加しています。人手不足を理由に挙げるなら、まずは「離職率を下げる努力」が必要不可欠。「ここで働きたい!」という職場を経営者が作ることです。
また、諸外国では「労働市場テスト」を実施した上で外国人労働者を受け入れるのが一般的です。これは「国内の労働者により充足されないことを確認するなど、労働市場の状況を勘案して国外の人に就労の許可を与える制度」です。
つまり、
「人手不足」→「外国人労働者」ではなく、
「人手不足」→「日本人労働者」→「やっぱり足りない!」→「じゃあ、外国人労働者で!」
といった具合です。
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