累計7600万本以上の売り上げを誇る国民的ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト(以下、ドラクエ)」シリーズ。このうち、「ドラクエX」と「ドラクエXI」の2作続けてプロデューサーを務めたのが、スクウェア・エニックス取締役の齊藤陽介さん(48歳)だ。「ドラクエ」以外にも、新興作品「ニーアオートマタ」でも350万本以上の売り上げを達成し、日本を代表するゲームプロデューサーの1人といえる。
そんな齊藤さんだが、「ドラクエXI」では自身のほか、30歳前後の2人の若手プロデューサーを据えたことで話題を集めた。また、2018年8月25日には、48歳の誕生日をもって、6年続いているオンラインゲーム「ドラクエX」のプロデューサーを引退した。なぜ、「ドラクエ」のプロデューサーに若手を据え、後進に道を譲ったのか。
――齊藤さんは8月に「ドラクエX」のプロデューサーを自ら引退され、後進に道を譲りました。現在はVチューバーの3Dアイドルユニット「GEMS COMPANY」のプロデューサーなど、新しいタイトルを手掛けています。なぜ、自ら「ドラクエX」というビッグタイトルを離れたのでしょうか。
「ドラクエX」の「冒険者の広場」というコミュニティーサイトにも書きましたが、自分が30歳を過ぎたときに、会社の中で「上がつかえている感」が気になり始めたのが原体験としてあります。もちろん「ドラクエ」のプロデューサーのまま居続ければ、ある意味では安定して働くこともできますし、ライフワークとしてさらなる何かを得ていたのかもしれません。しかし、それでは自分がかつて「違和感」を感じていた状況と同じになってしまいます。
プロデューサーとして、自分の部下や開発の現場で頑張っているスタッフたちのキャリアパスも強くイメージする必要があると思いました。「ドラクエX」は運営開始から満6年がたち、既に「ドラクエX」の各セクションのリーダーも世代交代をしていました。だから「プロデューサーも交代しよう」と思い至ったわけです。
――とはいえ「ドラクエ」はブランド力もあり、ご自身が長年支えてきた巨大プロジェクトですよね。それを譲るのは勇気がいることだったと思われます。どのように後継の組織作りを進めていったのでしょうか。
プロデューサーの交代そのものについては2、3年ぐらい前から具体的に考えていました。もちろん「誰でもいい」というわけではないですから、半年ぐらい時間をかけて、まずは適した人材がいるかをずっと考えていましたね。その過程で、プロデューサーに適した人材が見つかったので、1年半ぐらいのりしろを設けて、チームとして新しい体制を作り上げていきました。
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