トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の販売が好調だ。2018年1〜10月の世界販売台数は前年同期比6%増の56万台。特に日本国内では35%も伸びており、過去最高を更新している。
11月27日には、初のコンパクトクロスオーバー「UX」の国内販売も開始。世界的に拡大しているスポーツタイプ多目的車(SUV)市場に新型車を投入し、顧客層の拡大を狙う。
UXのチーフエンジニアを務めたのは、レクサスインターナショナルのExecutive Vice Presidentの加古慈(かこ・ちか)さん(2019年1月からは、先進技術開発カンパニー 材料技術領域 領域長)。UXに込めた思いや今後の課題などを聞いた。
――レクサスの販売台数は日本市場でも伸びています。好調の理由は何でしょうか。
(日本でのブランド展開は05年からだが、)これまでの取り組みでブランドの認知度が上がってきました。新型車の投入効果も大きい。特に、フラッグシップのセダン「LS」とクーペ「LC」の新型車投入以降、デザインや乗り味などを大きく変えてきました。既存ユーザーによる代替え需要が中心ですが、新型車によって新規のお客さまも増えています。
ジャーマンスリー(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)と比較されることも多いのですが、歴史あるブランドとは異なる、独自の商品力や価値を提供しており、その成果が表れていると考えています。
――UXも発売前に5500台を受注し、好調なスタートを切りました。
コンパクトクロスオーバーの市場は活況を呈しており、商品の選択肢が増えています。事前受注はレクサスオーナーの方によるものが多かったのですが、コンパクトクロスオーバーを「待っていた」と言ってくださる方が多く、期待していただいた結果だと思います。
――開発にあたって、米国でインタビュー調査をしたということですが、どのような人に話を聞いたのですか。
競合ブランドのコンパクトSUVに乗っている、ミレニアル世代の人に話を聞きました。若い世代は、子どものころからITに親しんでいて、情報収集能力に長けています。重要な情報を咀嚼(そしゃく)し、理解して、自分に合ったものを選ぶことができる。そんな人たちに選んでもらえるようなクルマにしたかったからです。
あるご夫婦は、ラグジュアリーブランドのSUVを所有していましたが、決して富裕層ではなく、ブランド品で身の回りを固めているわけではありません。例えば、家具を手作りして楽しむ一方で、クルマには投資する。そんな考え方です。日々を楽しむために何を選ぶか、上手に見極めて生活しています。常に新しいものを探求しながら、楽しく生活している様子に刺激を受けました。
こういう方々に選ばれる1台とは何か、ということを考えて開発しました。今は「ステータス」で何かを選ぶ、という価値観ではなくなっています。新しい出会いのきっかけになって、何かをやりたいと思っている人の背中を押す。そんなクルマを目指しました。
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