におわない「アイコス」誕生も近い? PMJ社長、「低温型」参入の可能性を否定せずJTの土俵に“殴り込み”?(1/2 ページ)

» 2019年01月28日 16時58分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 フィリップモリスジャパン(PMJ)は1月28日、加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」専用たばこスティック「HEETS(ヒーツ)」シリーズ4銘柄(いずれも税別470円)の全国展開を始めた。同時に、2018年11月に発売後、専門店「IQOSストア」と公式オンラインストア限定で取り扱ってきた新モデル「アイコス3」「アイコス3 マルチ」を全国のコンビニエンスストアで販売開始した。

 「ヒーツ」シリーズは世界各国で採取したタバコ葉をブレンドしており、これまで30カ国で展開してきた“海外仕様”の風味が特徴。同シリーズの全国展開によって、既存の「Marlboro(マールボロ)」シリーズを含めたラインアップは計11銘柄に拡大。さまざまな味わいをそろえ、より多くの喫煙者のニーズに応える体制が整った。

photo アイコス用たばこ「ヒーツ」シリーズ

 国内加熱式たばこ市場では現在、アイコスは7割程度のシェアを獲得しており、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATJ)の「glo(グロー)」(2割)、JT(日本たばこ産業)の「Ploom TECH(プルーム・テック)」(1割)を大きく上回っている。

 今回の施策には、加熱式たばこ市場でのシェアを確固たるものにする狙いがあり、PMJのシェリー・ゴー社長は「加熱式たばこ市場でナンバーワンを目指す」と強調した。また、たばこスティックの拡充のほか、加熱式たばこの商品開発にも注力していく方針も明らかにした。

photo PMJのシェリー・ゴー社長

過熱する加熱式たばこ市場 JTも近く2機種発売

 競合の動きに目を向けると、JTは1月29日に、新モデル「Ploom TECH +(プルーム・テック・プラス)」と「Ploom S(プルーム・エス)」を発売予定。従来型プルーム・テックの課題とされてきた吸い応えを改善し、アイコスからのシェア奪取を目指す構えだ。

 また、JTは他社にはない強みも持っている。同社が従来型プルーム・テックに取り入れてきた加熱方式は、アイコス(約300度)よりも低温(約30度)で加熱して臭いを低減する「低温加熱式」。アイコスなど「高温加熱式」よりも吸い応えが劣るデメリットはあるものの、JTは市場内で唯一このタイプを展開し、臭いの少なさで他社との差別化を図ってきた。

photo JTの「Ploom TECH +(プルーム・テック・プラス)」(=左)と「Ploom S(プルーム・エス)」(=右)

 29日に世に出るプルーム・テック・プラスは吸い応えを改善した低温加熱式(約40度)、プルーム・エスはJT初となる高温加熱式(約200度)となる予定で、後者は「たばこ葉のうま味を実現した点が特徴」(JT関係者)という。

 JTの岩井睦雄副社長も1月中旬に開いた記者会見で「これまで注力してきた低温加熱式を強化しつつ、高温加熱式でシェア奪取を目指す」と“打倒アイコス”への意気込みを語っていた。

 他社が参入してこなかった低温加熱式を拡充した上で、“アイコスの土俵”ともいえる高温加熱式のカテゴリーに殴り込みをかけようとするJT。この動きを受け、PMJはどう対応するのか。低温加熱式のモデルを開発・提供し、低温加熱式のカテゴリーでJTからシェアを奪い、市場での首位固めを図る計画はあるのか。会見でPMJのゴー社長に低温加熱式に参入する意向の有無を聞いた。

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