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「ラブライブ!」舞台の沼津 アニメ未登場でも「聖地」にしてしまう驚きの手法とは「大洗モデル」活用(2/5 ページ)

» 2019年05月30日 06時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
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中心部を「通過」するアニメファン

 アニメの舞台となったことで、当時、「聖地」を訪れようとするファンの多くは沼津駅に降り立ち、そこでバスやタクシーに乗り換えるという動き方をしていた。そこで、沼津市でバスやタクシーを運営する伊豆箱根鉄道は、作品のキャラクターが描かれたラッピングバスやタクシーを登場させ、ファンをもてなした。また、内浦地区に行くには隣の三島駅で伊豆箱根鉄道に乗り換え、伊豆長岡駅からバスに乗るのも有用な交通手段であるため、ラッピングトレインも走らせた。

 だが、こうした導線だと、多くは肝心の沼津市中心部を通過していってしまう。沼津商工会議所の中北俊さんは当時をこう振り返る。

 「16年9月にアニメ1期の放送が終わり、全国から大勢のファンの方が沼津を訪れるようになりました。しかし沼津駅に降り立っても、そのまま内浦のほうに向かう方が多かったのを覚えています。沼津には商店街が多いのですが、そこをわざわざ歩いて回る方は少数でした。このままだと地元の理解が得られにくいのではないかという懸念がありました」

 一般的にアニメファンが「巡礼」する場所は、作中の舞台になった場所に限られてしまうことが多い。「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台の多くは既に内浦地区が描かれていて、「もっと市中心部を取り上げてください」と地域が作品の内容に干渉することは現実的ではなかった。

 「どのような対策を取れば良いか……そこで、同様にアニメを用いた市街地回遊策で成功を収めていた、茨城県大洗町の先行事例を視察することにしたのです」(中北さん)

phot 「ラブライブ!サンシャイン!!」のラッピングバス
phot 伊豆箱根鉄道駿豆線を走る「サンシャイン」のラッピングトレイン(HAPPY PARTY TRAIN仕様)
phot 作品とコラボ中の伊豆・三津シーパラダイスの様子
phot 淡島神社に奉納されている作品のキャラクターが彩られた「痛絵馬」の数々

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