職場で見過ごされる“心の暴力” 教員暴行事件に見る、オトナ社会の異常さ河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(5/5 ページ)

» 2019年10月25日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]
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成長とともに「見て見ぬふり」するようになる

 いじめを目撃したときの対応(「みてみないふりをしますか?=傍観者」と「止めに入りますか?=仲裁者」)を子どもに尋ね、英国、オランダと日本の3カ国で比較したところ、次のような結果が出てしまったのです。

  • 日本では、年齢とともに「仲裁者」の比率が下がり続け、中学3年ではわずか20%
  • 一方、英国は、年齢とともに比率は下がるものの中学1年で下げ止まり、中学3年では約45%に反転
  • 「傍観者」は、日本は年齢とともに上がり続け、中学3年では約60%に達する
  • 一方の英国とオランダは、小学生から中学生に向けてやはり上昇するものの、中学2、3年において一転して低下。英国の中学3年生の傍観者比率は約40%

 中学生以降の子どもたちの言動には「社会の影響」いや、正確には「大人」が与える影響は極めて甚大です。

 「私」の言動をまずは振り返る。そこから大人が始める必要があるのではないでしょうか。

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)。2019年5月、新刊『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)発売。


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