クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ヤリスとトヨタのとんでもない総合力池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/8 ページ)

» 2019年11月11日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

全方位ぬかりなし

 クルマとしての基礎がしっかりしているだけでなく、ヤリスはさまざまな部分で手抜かりがない。

 例えば、運転支援では時速30キロ以上で作動するレーダークルーズ・コントロールが装備され、レーンキープアシストも装備している。この制御が上手いかどうかは、後日の公道試乗で試してみたい。

【訂正:22時30分 初出でレーダークルーズを全車速対応としていましたが、正しくは時速30キロ以上になります。お詫びし訂正いたします。】

 リヤのクロストラフィック警告も備え、縦列、並列の自動駐車の精度も見事に実用的だ。この機能、カタログには載っているものの、現実には全く真っ直ぐに停めることができず、実用的に使い物にならないシステムも主に欧州車にまだまだある。プジョー508では、試乗スケジュールの中で「どうぞお試し下さい」と用意されたスペースで、ついぞスペースを認識することができず筆者はテストを諦めたし、昨年友人が購入したメルセデス・ベンツGLAは「どうやってもめちゃめちゃ斜めにしか入らないから、あの機能は使うのを諦めた」という具合。それがヤリスの価格でパーフェクトに類するシステムが備わっていることは、日本の誇りといってもいい。

 世界初なのは、白線枠のない場所でも一度登録すれば画像を分析してきちんと定位置に停めてみせる機能だ。メモリーは3カ所分。この駐車精度と操作の簡単さは、実際に試してパーフェクトだと思った。

 また高齢者や体の不自由なユーザーへの対策としての回転シートやリフトなどについても、非凡なレベルで対応している。これについてはいろいろと思うとことが多いので、稿を改めて続編で書く予定でいる。

後日詳細にレポートするが、独創的な仕組みで成立した回転シート。地方の交通問題の解決の一助として期待される。危険でない限りにおいて、自助こそが理想の高齢者対策だ
改造が不必要で、老老介護でも力が必要ない考え抜かれた車椅子リフト

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