「そういう甘っちょろいことを言うから、最近の若者はダメなのだ」と憤る体育会おじさんも多いだろう。しかし、若者たちが上司からの「褒め」をここまで求めるようになったのは、上司側にも問題がある。あまりに褒めるのが下手くそなのだ。
公益財団法人 日本生産性本部が14年8月28日に公表した「第3回 職場のコミュニケーションに関する意識調査結果」によれば、「褒める」ことが「育成につながる」と考えている課長は98.1%で、実際に「褒めている」と回答した78.4%もいた。
しかし、一般社員側に「上司は褒めるほうだ」と感じているか尋ねたところ、48.6%にとどまっている。つまり、上司側は「オレってかなり部下を褒めているよな」と思っていても、部下側には伝わっていないケースがかなりあるのだ。
個人的に、この背景にあるのは、日本の「教育」が伝統的に「人は厳しく育てると真人間になる」と考えられていることが大きいのではないかと思っている。長所を褒めて伸ばす「加点方式」の人材育成ではなく、短所を叱って潰していく「減点方式」がスタンダードなのだ。例えば、海外では親が子どもに体罰をするのは立派な虐待だが、日本では「しつけ」として令和の今でも根付いている。
学校でも、一人ひとりの個性に合わせて成長させるのではなく、「みんな」と同じ行動、同じ水準になることが何よりも重視されている。海外の中高生が聞いたら「軍隊みたいだね」と驚くような厳しい規律とハードスケジュールで部活動を行い、「みんな」の足を引っ張ることがないよう、熱中症でぶっ倒れるまで走り込みをさせられる。刀や包丁のように厳しく叩けば叩くほど、上の命令に素直に従う強い組織人ができ上がる、という思い込みが教育者、管理職、そして子ども側にも骨の髄まで叩き込まれているのだ。
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