世界の中央銀行は19年から20年にかけて、CBDCの研究を加速させている。欧州中央銀行(ECB)は10月、「デジタル・ユーロ」を商標登録申請するとともに、パブリックコメントの募集を始めた。21年にも実証実験を始める予定だという。
さらに日本銀行も今月9日、デジタル通貨の実証実験を21年度に実施すると発表した。米国は20年半ばまで、政権・中銀関係者ともにCBDCに否定的だったが、先進国で開発の検討が進むにつれて、徐々に姿勢を改めている。
国際決済銀行(BIS)が今年1月に発表した年次調査報告によると、調査に回答した66の中央銀行のうち80%がCBDCの研究に取り組んでいた。報告書は中央銀行の10%がデジタル通貨の発行にかなり近づいており、23年までに最初のCBDCが発行される可能性が高いとまとめた。
BISによる報告書(リンク)。66の中央銀行のうち、80%がCBDCの研究に取り組んでいるという
各国が一斉にCBDC発行の検討を進めたのは、フェイスブックが19年6月にグローバルなデジタル通貨構想「リブラ(Libra)」を発表したことがきっかけだ。リブラは国際送金のコスト低減や、既存の金融機関にアクセスできない人に金融サービスを提供するファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)を解決することを掲げていたが、各国政府は個人情報の安全性や、国家の通貨主権や金融政策を脅かし、マネーロンダリングやテロ資金に使われると総じてリブラ構想に反対した。
同時に、中央銀行側はリブラという黒船を前に、自らがCBDC開発に取り組むことを迫られた。新型コロナウイルスが拡大し、デジタル決済が急増したことも中銀の背中を押した。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は10月12日、国際通貨基金(IMF)が主催する会議で、「デジタル決済への信頼感が高まり、大きな変化が起きている」「ECBはデジタルユーロを真剣に検討している」と述べた。
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