それでは、どのような投資指標が株価水準の妥当性を図る上で有益だろうか。この点について、今回は「日経平均PER」から確認したい。
日経平均PERとは、日経平均採用銘柄の各社におけるPER(株価 ÷ 1株あたり純利益)を平均化したものである。簡単にいえば、PERの倍率は投下した資本が何年で回収できるかを示す指標でもある。そのため、構成銘柄が違っていても指数における加熱度を比較することができる。
足元で算出された日経平均PERは24.34倍である。実は、この24倍という数字は歴史的に見てもかなり高い部類にある。少し前までの市場関係者の感覚でいえば、日本株におけるPERの相場は14倍だ。つまり投資した資金が純利益ベースでみると14年ほどで回収できるものが24年かかるようになったというイメージだ。それではこの水準はバブルといえるのだろうか。
まずは“米国版日経平均”というべき、「ダウ平均株価」と比較したい。ダウ平均のPERは足元で31.47倍、そして平時では20〜25倍程度で推移している。ここからみると、足元の日経平均株価指数におけるPERは平時の米国市場並みといえることになる。
次にバブル期のPERは何倍だったのだろうか。バブルの絶頂期、日本株の平均PERはおよそ80倍だったという。現在相場の加熱度は高まっているとはいえ、PERという投資指標ベースでみるとバブル相場の足元にも及んでいない。仮にコロナ相場が、先のバブル絶頂期と同じということであれば、日経平均株価は9万6631円になっていないと辻褄(つじつま)が合わない。
明らかに異常な株価水準であると思うかもしれないが、物価の変動をはじめとした年代によるさまざまな要因をPERの観点から“補正”すると、今の感覚でいえば日経平均が9万6000円程度になって初めて”バブル超え”というべきなのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング