リテール大革命

「消費期限1日」の魚を販売するネットスーパー その仕組みは?相馬留美の「今そこにある商機」(2/5 ページ)

» 2021年07月19日 07時20分 公開
[相馬留美ITmedia]

産地をIT化して日替わり品をネットで販売

 まず一つは、産地のIT化だ。

 生鮮品、特に魚介類をインターネットで販売するのが難しいのは、「鮮魚は商品に品番がつけられないから」とフーディソン・伊藤貴彦執行役員は言う。

 同じ魚でも日々獲れるものが変わり、大きさも一つ一つ違うため、規格化が難しい。店舗数の多い小売店であれば、売り場が多いので「今日のお魚」といったイレギュラーな商品を置くこともできる。しかし、同じことをネットスーパーでやろうとすると、前述の通り、店頭販売分と別に、入荷した商品に現場で品番をつけて情報化するのは手間がかかる。店で売りさばけばいいものをネットで売るインセンティブが働かないので、ネットスーパーに鮮魚があまり並ばないわけである。

 逆に、ネットスーパーで鮮度にこだわろうとすると、入ってきたものをネットでいかに早く売るかが勝負どころになる。たくさん仕入れて安く売るという店舗ありきのビジネスモデルと違い、いかに規格化し、瞬時に商品ページを作って売りさばくかが売り上げを左右するからだ。

フーディソンの伊藤貴彦執行役員

 そこで、フーディソンが行ったのは産地のIT化だ。

 深夜から早朝にかけて、漁に出ている産地の漁師とフーディソンのバイヤーがその日の漁の状況を電話で確認して注文する。漁から戻ると、注文した商品は市場便(東京都中央卸売市場である豊洲市場や大田市場など市場に魚を運ぶ専用の便)に乗って都内へと出荷される。地元市場で仲卸業者から注文するものもあるが、流れは同様だ。

 産地から都心に注文した商品が配送されるのと並行して、仲卸業者やフーディソンのバイヤーが、同社が提供する情報入力システムを使い、生鮮品の種類、産地、数量、漁法など商品情報を登録する。産地の人が直接商品の説明文を書くこともあり、「少し小ぶりです」や「形が崩れていて少しお得」といった、現物そのものの説明書きができるのもメリットだ。その情報を基に、輸送と同時並行でperrotの担当者が商品ページを作成する。

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