では、その球体状のたこ焼きは、どのようにして開発したのだろうか。当時、開発チームは大阪中のたこ焼き店を駆け回って、職人さんのワザを徹底的に研究したそうだ。くるくる回してつくるにはどうすればいいのか。人件費の安い海外でつくることはできるが、スーパーで購入する人たちは「国産嗜好(しこう)」が強い。ということもあって、国内でつくりたいが、人件費がネックになっていた。この課題を解決するためには、どうしても工場に機械を導入しなければいけなかったのだ。
ちなみに、いまは自動でたこ焼きをつくってくれるロボットがある。例えば、調理ロボットを展開しているコネクテッドロボティックスは、世界初のたこ焼きロボットを開発し、2018年には長崎のハウステンボスに導入した(参照リンク)。その後も、さまざまなところで導入が進んでいるわけだが、当時のテーブルマークは職人ワザを再現した機械を導入したのだ。
熱した半円状の型に生地を流し込んで、そこにタコを入れ、じっくりと表面を焼く。表面がカリっとしてきたら、2つの型を合わせて丸い形をつくる。最後に、表面が焦げ付かないように、型全体を揺らしながらくるくると転がして、まん丸のたこ焼きを完成させている。
工程をこのように書いても、読者には伝わらない部分があるかもしれない。商品を完成させるまで、試行錯誤が続いたからだ。
「外はカリっ、中はトロリ」を実現するのに、試練が待っていた。火加減がうまくいったと思ったら、配合を変えなければいけない。配合を変えれば、火加減を変えなければいけない。といった感じで、バランスをとるのがとにかく難しかったのだ。
このほかにも、野菜の収穫時期によって水分量は違ってくるし、季節によって工場の湿度が変わってくる。そのたびに、バランスを調整して、うまくいかなければ、また調整して……。何度も何度も繰り返すことで、やっと「外はカリっ、中はトロリ」とした商品が完成し、あとは消費者の“胃袋”をつかむだけになったのだ。
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