高い賃料でも人気! 住居とお店が合体した「小商い物件」がじわじわ増えている理由古い木造一戸建てが“人気物件”に(2/4 ページ)

» 2022年06月24日 06時00分 公開
[中川寛子ITmedia]

店舗付き住宅を専門に扱うWebサイトも登場

 最初に出たのは「小商いのすすめ 『経済成長』から『縮小均衡』の時代へ」(平川克美著 ミシマ社)。続いて「ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方」(伊藤洋志著 東京書籍)、「小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本」(伊藤洋志著 風来社)などなど。

 17年6月には1階に店舗、2階に住宅という店舗付き住宅を専門に扱う「商い暮らし」というWebサイトが登場。同年3月にはJR東日本の社宅を丸ごとリノベーション、1階に店舗2戸、店舗兼用住宅4戸が入った集合住宅も誕生した。

不動産 店舗付き住宅を専門に扱うWebサイト「商い暮らし」

 以降、新築、リノベーションいずれのケースでも小商いができるスペースを設けた建物は確実に増えてきている。

 しかも、そうした建物は入居が決まるのが非常に早い。書籍でも紹介されている京急線大森町駅近くにある、昭和の木造長屋群をリノベーションした「大森ロッヂ」(東京都大田区)では、古い木造一戸建てを小商いや趣味に使える新棟「笑門の家」に改装した。

不動産 古い木造住宅の一部を撤去、その部分とかつてバルコニーのあった2階部分までを温室サッシで囲み、2層吹き抜けの大きなサンルームのような空間を作った笑門の家(筆者撮影)

 Webサイトに入居者募集の告知が出たのが4月19日で、24日には終了の告知である。この地域の一戸建てにしては高めの賃料でも一瞬で決まったのだ。それほどに小商いの引力(この場合には物件の引力も相当なもの)は強いのである。

不動産 京急線大森町駅からすぐのところにある大森ロッヂ。レトロな雰囲気のある長屋群だが、一部には非常に大胆な新築もある(筆者撮影)

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