宿泊施設には多様な種別がある。一般的に知られる呼称だけでも「シティホテル」「ビジネスホテル」「リゾートホテル」「旅館」「カプセルホテル」「ラブホテル」……とさまざま。“種別”ではなく本来“形態”と書くべきなのだろうが、そこがなかなか難しい。旅館をテーマにしたビジネスホテルやシティホテル然とした高級ビジネスホテル、リゾートホテルをテーマにしたラブホテルなど、近年、特にインバウンド活況下で激増した宿泊施設では、競合に勝つために差別化するという流れの中で多様なタイプが誕生した。
筆者は7年ほど前から“業態のボーダレス化”と指摘してきた。ゆえに個別の施設をタイプ分けする場合に、呼称と形態は正確な意味でイコールではないことがある。まずは冒頭に書いた種別についてみていきたい。
法律的な定義については別に譲るが、宿泊施設である以上“宿泊”機能があるのは共通している。ただし、完全なる個室(鍵が掛かる)か否かという点では「カプセルホテル」は他と異なることが明確だ(ホステルについてはここでは触れない)。
シティホテルはサービスの幅が広い。宿泊サービス以外に多様な料飲施設、ウエディング、宴会といったようにさまざまなサービスを提供する。業界では“フルサービスホテル”ともいわれる。一方、ビジネスホテルはシティホテルから宿泊以外のサービスを排し、宿泊に特化したホテルとされ(朝食の提供はある)、業界では宿泊特化型ホテル(リミテッドサービスホテル)ともいわれる。
リゾートホテルは、例えば屋外プールや温浴施設など、基本的には余暇を楽しむための設備を備え、相応のサービスが提供されるホテルといえる。それらは主にリゾートエリアに立地するものの“都市型リゾートホテル”というように、都市部にありながらもかような雰囲気やサービスを提供するホテルもある。
リゾートホテルといえば、一般的にダイニングレストランやリゾートウエディングというようにフルサービスをイメージするだろう。ただ、ウエディングやディナーを提供しない宿泊特化タイプでありながらリゾートホテルを呼称する施設もあり多様だ。
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