渋谷ハロウィーンの「地元にカネが落ちない問題」、どう解決すべきかスピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2022年11月01日 10時54分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「夢」のある額ではなかった

 この方法で大事なのはやはり「賞金の額」だ。実は渋谷ハロウィーンよりも歴史が古く、日本のハロウィーン普及に大きく貢献をした川崎ハロウィーンが昨年で終わってしまった。

 こちらは渋谷のような無秩序な路上イベントではない。1997年から続いた主催者のいる仮装パレードのコンテストだ。2010年代には、川崎市も含め主催25団体に及び、参加者も約3000人にのぼった。

 主催者がしっかり運営して、地元の人々たちも応援していたイベントが消滅した。その一方で、主催者もいなくて地域に多大な迷惑がかける無秩序イベントが「日本を代表するハロウィーン」になっているという皮肉な状況に、釈然としない人も多いだろう。

 そんな川崎ハロウィーン、仮装コンテストの賞金は50万円だった。もちろん、50万円も大金ではあるのだが、街を好き勝手に歩きまわって「自由」を表現したいという無秩序な若者たちに、別の場所に移動してもらえるほどのインパクトはない。渋谷駅前の若者たちをゾーニングさせるには、せめてM-1グランプリくらい「夢」のある賞金が必要ではないか。

 というわけで、カネが腐るほどあるというお金持ちの方、どなたか渋谷ハロウィーンの会場設営費用と、そこの賞金をドカンと大盤振る舞いしてくれませんかね? 

 今のまま渋谷ハロウィーンを続けても誰も得はしない。

 年々増員される警察官は疲弊する一方だし、商店街への恩恵はほとんどない。若者たちは「自由」を謳歌しているというが、実際は、警察の指示通りに動いて、目的もなく群集の流れに任せてさまよっているだけなので、渋谷から帰るときは運動会に出たように疲れ切っている。

 こういう「誰も得しない」という不毛な状況を変えていくためにも、お金持ちや大企業の方はぜひ真剣に「ハロウィーン投資」を検討していただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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